「母」を題材に、映画やテレビで活躍する5人の脚本家が製作したオムニバス作品。無差別傷害事件を犯した息子を抱えた母の葛藤を描く「BUG」。子育て幽霊の怪談をモチーフに独自の演出スタイルで作られた「夜想」。母にコントロールされ続けた娘の哀しみを描く「いつか、母を捨てる」。聖夜に巻き起こる子育て反省コメディ「だめだし」。 娘と死別した母の喪失と再生を描いた「ルカノパンタシア」の5作品。

#1「BUG」（20分）脚本・監督：武田恒／出演：小沢まゆ、上田雅喜、悦永舞、垣内健吾、吉牟田眞奈
息子の聖がなぜ無差別傷害事件を起こしたのか、分からずにいた母親の鳴海は、息子と距離を置こうとする夫や、被害者家族のキャバ嬢の朋絵と話す中で、聖ともう一度、向き合おうとしていく。

#2「夜想」（20分）脚本・監督：高橋郁子／出演：大島朋恵、加藤亮佑
飴屋の男のもとを、毎夜訪ねる美しくもか細い女。しかし、その訪問は深夜ばかり。なぜこんな時間なのかと男が尋ねると、女は一人抱えていた過去を語り始める。

#3「いつか、母を捨てる」（22分）脚本：進藤きい／監督：木内麻由美／出演：外山史織、山野海、秋本奈緒美、久保田秀敏、岡見時秀
母にコントロールされ、努力を強いられてきた晶子は、息をひそめ、母の機嫌を損ねないよう生きている。だがある夜、母の望む大手商社に就職できたという嘘がバレそうになり、心の奥底に隠れていた思いが動き出す。

#4「だめだし」（20分）脚本：たかはＣ／監督：野田麗未／出演：アキラ100%、高橋明日香、川越諒、EMA、大島祐也、黒木美結、高遠るきの
12月24日。映像監督を生業にしている純也は、忙しい年末に編集作業に追われている。帰省中の妻から「あれ忘れないでね」という連絡が。純也は娘との約束をすっかり忘れてしまっていた…。

#5「ルカノパンタシア」（28分）脚本・監督：難波望／出演：嶋村友美、森山みつき、藤井太一
郊外の一軒家で、なんの変哲もない暮らしを送る母・路佳と娘の海凪。そこへただならぬ決意を秘めた元夫、茂が訪ねてくる。彼にはどうしても打ち明けなければならない思いがあった。茂の思いがけない告白を受け、母娘のかりそめの幸せはくずれてゆく。