長編デビュー作「ほとぼりメルトサウンズ」(2021年)で、第17回大阪アジアン映画祭、第22回ニッポン・コネクション(ドイツ)などに選出された東かほり監督が、母である歌人・小説家の東直子の小説「とりつくしま」(筑摩書房)を映画化。2017年に発刊された小説「とりつくしま」は、切なさや温かさ、哀しみに少しのおかしみを滲ませ、失われた人生への記憶を描く11篇からなる短編集。本作は、「トリケラトプス」「あおいの」「レンズ」「ロージン」の4篇に、オリジナルストーリーを加えている。
また本作は、上田慎一郎監督「カメラを止めるな!」(17年)をはじめ、今泉力哉監督作「退屈な日々にさようならを」(16年)や、外山文治監督作「茶飲友達」(22年)などを輩出したENBUゼミナール「シネマプロジェクト」の第11弾作品。ワークショップには応募総数399名の中から選ばれた71名のキャストが参加し、橋本紡、櫛島想史、小川未祐、磯西真喜、安宅陽子、志村魁など23名が出演。そして、小説で重要な役割となる〝とりつくしま係〟として、原作小説のファンである小泉今日子が出演している。
人生が終わってしまった人々の前に現れる〝とりつくしま係〟は、「この世に未練はありませんか。あるなら、なにかモノになって戻ることができますよ」と告げる。夫のお気に入りのマグカップになることにした妻、大好きな青いジャングルジムになった男の子、孫にあげたカメラになった祖母、ピッチャーの息子を見守るため、野球の試合で使うロージンになった母。人生の最後に、モノとなって大切な人の側で過ごす時間。
「トリケラトプス」(出演:橋本紡、櫛島想史、小川未祐)
2年前に結婚し、幸せな夫婦生活を送っていたこはるは、夫の渉が大好きなトリケラトプスの絵の描かれたマグカップにとりつくことに。だがそこへ新しい女性が現れ、こはるをヤキモキさせる。
「あおいの」(出演:楠田悠人、中澤梓佐)
幼稚園児の樹は、公園の青いジャングルジムにとりついて、ママを待っている。その公園には、女子高生、ベンチに座る夫婦、漫才の練習をする2人組などさまざまな人が集まっていたが…。
「レンズ」(出演:磯西真喜、柴田義之)
「孫の翔太が覗くものを見たい」という思いから、彼に買ってあげたカメラにとりついたさゆり。しかしそれは、中古屋に売られてしまう。さゆりは、そのカメラを買ったおじいさんが捉える世界を共にしながら、癒されていく。
「ロージン」(出演:安宅陽子、志村魁、)
環は、軟式野球チームのピッチャーとして活躍する息子が中学最後の公式戦で使うロージンバックの白い粉にとりつく。飛び散ってしだいに消えてしまうものを選んだのには、息子を思う母親としての切ない理由があった。
©ENBUゼミナール
公開日: 2024年09月05日
とりつくしま
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2024年 /日本 /89分
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公式サイト: http://toritsukushima.com/
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