初期の認知症であることが判明した主人公が、50年前に姿を消したかつて愛した人の謎を解き明かすことを決意し、薄れゆく記憶をたどりながら、アイスランドからロンドン、日本へと彼女を探す旅に出るラブストーリー。原作は、2020年にアイスランドで出版されベストセラーとなったオラフ･オラフソンによる「Snerting（原題）」。「湿地」（07年）や「ザ・ディープ」（12年）のバルタザール･コルマウクルが映画化を熱望し実現した。

現在の主人公、クリストファーを演じたのはアイスランドを代表するシンガーソングライターで俳優のエギル･オラフソン。若き日のクリストファーは、コルマウクル監督の息子でもあるパルミ･コルマウクルが演じている。クリストファーが恋をするミコには、モデルとしてキャリアを重ねるKōki,を抜擢、ミコの父である高橋を「おくりびと」（08年）で米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞した本木雅弘、現在の東京でクリストファーが親交を深める久多良木を中村雅俊が演じる。

初期の認知症の診断を受けたクリストファーは、医師に「やり残したこと」を問われ、学生だった50年前に、ロンドンで出会い恋に落ちた日本人の女性ミコを探す旅に出ることを決意する。彼女とは愛し合っていたが、日本料理店を営む父親の高橋とともに、突然姿を消したのだった。薄れゆく記憶と戦いながら、ロンドンを訪れたクリストファーは、高橋の店で共に働いていたヒトミから、一通の手紙を見せられる。その住所をたどり、東京を経てミコの故郷である広島へと向かったクリストファーは、時を超えた切ない真実を知ることになる。