第80回ベネチア国際映画祭べニス・デイズ（Giornate Degli Autori）部門で最優秀監督賞を受賞し、第48回トロント国際映画祭のオフィシャルセレクションに選出された本作は、人を殺せない吸血⿁と、生きることを諦めようとする青年、生きづらさを抱える2人の出会いを描くダーク・ファンタジー。監督は、短編「Little Waves（英題）」がトロント国際映画祭や、ベルリン国際映画祭にノミネートされたアリアーヌ・ルイ・セーズ。主人公の吸血鬼サシャを「ファルコン・レイク」のサラ・モンプチが演じる。

サシャは、ピアノを弾くことが好きなバンパイア。ただ、感受性が強すぎ、人を殺すことができないという吸血鬼としては致命的な問題を抱えていた。自ら人を手にかけることはせず、生きるために必要な血の確保を親に頼り続けようとするサシャ。両親は、いとこの血気盛んなドゥニーズと共同生活を送らせることを決める。血液をもらえなくなったサシャは、自分で獲物を狩るようドゥニーズに促されるが、どうしても殺すことができない。心が限界を迎えたとき、自殺願望を持つ孤独な青年ポールと出会う。どこにも居場所がないと感じている彼は、サシャへ自分の命を捧げようと申し出る。

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