秘密の森の、その向こう
8歳の少女ネリーは大好きだった祖母を亡くし、祖母が住んでいた森の中の一軒家へ両親とともに片付けに来る。しかし、母マリオンは祖母との思い出に胸を締め付けられ、家を出ていってしまう。ネリーは森を散歩するうちに、母と同じ名前の少女に出会い、親しくなっていく。 「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマ監督・脚本作品。祖母、母、娘の3世代の喪失と心の安らぎの物語だ。移ろいゆく季節の木々と色づく葉、神秘的な中にも人が生きることの切なさやつながりを漂わせ、全てを受け入れる森の美しさに息をのむ。その森を介して生じる過去と現在を溶け込ませる演出で、違和感さえもスーと心に刻まれていく。 気がつけば世代や時間を超越...