謎とスリルのアンソロジー:「オールド・ボーイ 4K」「ブルー・リベンジ」 カタルシスか、それともむなしさか
キーワード「復讐という名の正義」 今回のお題である〝復讐(ふくしゅう)〟にまつわる映画は、古くから繰り返し作られている。初めてブーム化したのは1970年代のこと。「わらの犬」(71年)、「狼よさらば」(74年)、「マッドマックス」(79年)をはじめ、ビジランテ(自警団)映画やリベンジムービーとも呼ばれるハードな復讐劇が大量生産された。 理不尽な暴力によって愛する者の命を奪われた主人公が、まるで頼りにならない警察を見限って、悪党どもに自ら私的な制裁を加えていくというのが王道のパターン。しかし、こうしたプロットは観客受けするアクションやバイオレンスを映像化するための口実でもあり、復讐の...

高橋諭治
2022.3.29