オフィサー・アンド・スパイ
ロマン・ポランスキー監督が19世紀末のフランス社会を揺るがした有名な冤罪(えんざい)事件〝ドレフュス事件〟を映画化し、ベネチア国際映画祭銀獅子賞(審査員大賞)を受賞した歴史劇。ユダヤ系の陸軍大尉ドレフュス(ルイ・ガレル)がスパイ容疑で終身刑を宣告され、監獄島に送り込まれる。ドレフュスの元教官ピカール中佐(ジャン・デュジャルダン)は、ドレフュスの無実を証明する文書を発見し、軍上層部に対処を求めるが……。 正義感に燃える主人公が、哀れな冤罪被害者を救うという単純な美談ではない。孤立した人間の不安心理の描写にさえを見せるポランスキー監督は、体制側の良識派将校であるピカールの視点で全編を語り、腐敗し...