この1本:「聖地には蜘蛛が巣を張る」 イスラム社会のスリラー
「ゲット・アウト」「ニューオーダー」など、ジャンル映画にメッセージを託した秀作が続く。本作は「ボーダー 二つの世界」でファンタジー調のホラーに差別を描いたイラン出身のアリ・アッバシ監督による、実話を基にしたスリラー。女性主人公に迫る恐怖と息詰まる緊迫感で物語に引き込みつつ、イスラム社会の男性支配の罪深さを暴く。 イラン・マシュハドで売春婦の連続殺人事件が発生、テヘランから女性記者ラヒミ(ザーラ・アミール・エブラヒミ)が取材に訪れる。犯人はスパイダー・キラーと呼ばれ、犯行ごとに地元男性記者のシャリフィ(アラシュ・アシュティアニ)に電話をかけ、イスラム教の教えに従って町を浄化していると主張してい...