特選掘り出し!:「神は銃弾」 容赦ない痛みや醜さの先に
アメリカ人作家ボストン・テランが1999年に発表したノワール小説の映画化である。クリスマスの夜、刑事ボブ(ニコライ・コスター・ワルドー)の元妻とその夫が殺され、10代の娘が誘拐された。娘の奪還を誓ったボブは、悪魔崇拝カルトの一味を追跡する。 本作の特徴は二つの〝過剰さ〟。まずバイオレンス描写のすさまじさだ。犯人のカルト集団は血も涙もなく、殺戮(さつりく)を楽しむかのように凶行を繰り返す。一方、敬虔(けいけん)なクリスチャンのボブは模範的人物だ。しかし何が何でも娘を救いたい彼は、捜索の過程で血生臭い暴力に手を染め、法治の限界を悟る。 ボブに協力する若い女性ケース(マイカ・モンロー)のキャラ...