この1本:「お母さんが一緒」 家族の面倒臭い2対1
「恋人たち」(2015年)で毎日映画コンクール日本映画大賞を受賞した橋口亮輔監督の9年ぶりの新作。ペヤンヌマキの舞台劇を原作としたドラマシリーズを再編集した。旅館の中を舞台にした4人の登場人物によるセリフ劇は、大笑いして身につまされ、ちょっとしんみりするホームドラマだ。橋口監督、らしさを保ちながら新境地である。 母親の誕生日のプレゼントとして、弥生(江口のりこ)、愛美(内田慈)、清美(古川琴音)の3姉妹が母親を連れて山中の温泉旅館にやってくる。しかし、楽しいはずの家族旅行は出だしから危なっかしい。到着するなり、弥生は部屋がかび臭いとか露天風呂が小さいとか、文句ばかり。全てをお膳立てした愛美は...