心の奥底で蓋をして放置していた感情もいつか沸騰してあふれ出す「アンダーカレント」
人は痛みを経験した分、強くなるという。けど、私はそう思わない。人は痛みを経験した分、臆病になる。人は痛みを経験する度に、臆病な自分を隠すのがうまくなるのだ。取り繕う仮面ばかりが厚くなり、臆病なままの自分は何も変わっていないのに、なぜ大切な人にまで仮面を外すことができないのか。 人が誰しも持っている本当の自分と、本当の他人について考える映画「アンダーカレント」 家業の銭湯を継ぎ、夫の悟と穏やかな生活を送っていたかなえ。しかし、ある日突然、悟が失踪し、残されたかなえは途方に暮れていた。街の人々の要望もあり、休業していた銭湯を再開させた直後、堀と名乗る謎の男が住み込みで働かせてほしいとやって来る...

青山波月
2023.9.28