この1本:「DOGMAN ドッグマン」 スター監督、会心の一作
1980年代初頭にフランスの新世代監督として脚光を浴び、「グラン・ブルー」「ニキータ」「レオン」で一世を風靡(ふうび)したリュック・ベッソン。2000年代以降は自らが設立した映画会社ヨーロッパ・コープで製作業務にいそしんできたスター監督は、幾多のヒット作を放つ一方、映画作家としての輝きを失っていった。失礼ながら筆者も「過去の人」と見なしていた一人だが、この新作には感嘆させられた。ベッソンの復活を告げる会心の一作である。 映画は米ニュージャージー州でダグラス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)という不審人物が警察署に収監される場面から始まる。女装姿で傷を負い、トラックで十数匹の犬を運んでいたこ...