Anthony Chen
1984年4月17日 生まれ
陳哲藝映画監督、脚本家、映画プロデューサー「国境ナイトクルージング」(2023年)
中国と北朝鮮の国境の町、延吉で偶然出会った3人の若者の姿を映し撮った「国境ナイトクルージング」。異文化が混ざり合う極寒の地で一緒に飲み明かし、過ごした数日間を繊細に表現した。アンソニー・チェン監督は「この映画自体が多くの自由を生み出し、現代の若者の内面と彼らが求める精神的な自由についての映画になった」と語った。 異文化の混じり合う町 3人の男女 オリンピック出場を断念した元フィギュアスケーターで観光ガイドのナナ、勉強が苦手で故郷を飛び出し親戚の食堂で働くシャオ、母からのプレッシャーで心を壊したエリート社員ハオファン。3人は共に楽しみ気ままに過ごすが、互いに深入りはしない。孤独を...
鈴木隆
2024.10.30
フランソワ・トリュフォーの「突然炎のごとく」に代表されるように、女性1人、男性2人の組み合わせは青春映画の伝統的な定型だ。この名作が好きだというシンガポールのアンソニー・チェン監督の新作は、北朝鮮との国境に近い中国の東北部で撮影を実施。氷と雪に覆われた街でめぐり合った若者たちの物語だ。 知人の結婚式に出席するため延吉市を訪れたハオフォン(リウ・ハオラン)が、観光ガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)と知り合う。ナナの友人のシャオ(チュー・チューシアオ)を加えた3人は、楽しい一夜を過ごしたのちにバイクで国境地帯に向かい、親密な時間を共有していく。 ハオフォンは上海の金融マンだが、競争に疲れて心の均...
2024.10.18
北朝鮮との国境に近く、中国と朝鮮の文化が混ざり合う中国東北部の延吉の街を舞台に、競争社会からこぼれ落ち、挫折と閉塞感を抱える3人若者の邂逅と解放を描く。監督は、フィリピン人のメイドと小学生の心の交流を繊細に描いた「イロイロ ぬくもりの記憶」(2013年)で、第66回カンヌ国際映画祭カメラドールを受賞したシンガポール出身のアンソニー・チェン。脚本なしの状態で、未知の撮影地で、撮影期間を先に決めて撮るという異例の映画制作を行なった。 主人公のひとりナナを演じたのは、「サンザシの樹の下で」(11年)でデビューし、21年に日本でもスマッシュヒットした「少年の君」(19年)でも知られるチョウ・ドンユイ...