Nelson Carlos De Los Santos Arias
監督「ペペ」
第74回ベルリン国際映画祭(2月15~25日)は、最高賞の金熊賞にドキュメンタリー「ダホメ」(マティ・ディオップ監督)を選んで閉幕した。コンペティション部門20本の中には、突出した作品こそ見当たらなかったものの、世界各地からの多様な「声」が並んでいた。「政治的」と形容されてきたベルリンは、各地で紛争が続き分断と対立が深まる中で対話を促し、授賞結果はその象徴に見えた。 ウクライナ、ガザ地区……混迷映し 映画祭は開幕前からざわついていた。ドイツ国内では政府のイスラエル支援に反対の声が上がり、政党関係者を招くことが慣例となっていた開会式に、排外主義的な右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)...
勝田友巳
2024.2.26
麻薬王エスコバルがナミビアからカバを奪って南米に連れ帰るが、カバは逃げだし、やがて人間に殺される。〝アメリカで殺された唯一のカバ〟の、時と場所を越えて漂い、アフリカーンス語やスペイン語など複数の言語を行き来する独白を通して、植民地で支配された人々のアイデンティティーや、人間と自然との関係を批判的に浮き彫りにする。第74回ベルリン国際映画祭で監督賞。 © Monte Culebra