この1本:「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 重厚濃密、圧巻の俳優陣
米国の負の歴史に光を当てて世に問い、かつ人間ドラマとしてもめっぽう面白い。監督マーティン・スコセッシ、主演レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ。ハリウッドの重鎮、大御所が顔をそろえ、米国映画の良心と底力を感じさせる大作である。 1920年代、オクラホマ州にあった先住民オセージ族の居留地から石油が採掘され、オセージの人々に巨額の対価が支払われていた。親族に相続されるこの富を、白人支配者たちはあくどく搾取し、多くのオセージの人々が虐殺された。本作は、そうした中で起きた大量殺人事件の一つを描く。デイビッド・グランのノンフィクションが原作である。 戦争帰還者のアーネスト(ディカプリオ)は...