© 2000 Universal Studios. All Rights Reserved.

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2023.1.02

「グラディエーター」皇帝の息子コモドゥスを否定できない!

Y2K=2000年代のファッションやカルチャーが、Z世代の注目を集めています。映画もたくさんありました。懐かしくて新しい、あの時代のあの映画、語ってもらいます。

花岡悠介

花岡悠介

「グラディエーター」とは、剣闘士という意味である

 この物語は、ローマの将軍マキシマスが戦場を駆け巡り、戦士たちを鼓舞している様子から始まる。
マキシマスは部下からも慕われ、皇帝からも慕われ、戦でも戦果を残してゆく。
そして戦の終結後、皇帝から次期皇帝になるよう命じられる。
しかし、次期皇帝の座を狙っていた皇帝の息子コモドゥスによって陥れられ、処刑を命じられる。
マキシマスはなんとか逃れたものの、彼の妻子は殺され、絶望した彼は奴隷として売られ、人々の前で見せ物として戦わされる剣闘士へと身を落とす。
 
実はマキシマスは、権力に全く興味がなく、「次期皇帝になれ」と告げられた際、「故郷に帰って家族と暮らしたい」と答えた。
彼が一番に大切に思っていたのは家族であったのだ。
 

コモドゥスを悪く思うことができない

しかしそれを知らないコモドゥスは自分が皇帝になりたいがためにマキシマスを陥れ、彼の妻子までも手にかけた。
 
これだけ聞くとコモドゥスは完全なる悪役である。
しかし私は、どうしてもコモドゥスを悪く思うことができなかった。
もちろんコモドゥスのしていることは最低最悪で、映画を見ている上でこちらも腹立たしく思うのだが、どうしても彼の動機が否定できないのだ。
 
私は、彼がこのようにひどい行動をとった原因は「嫉妬」だと感じた。
彼はただ誰かに期待され、認められたかったのである。
彼の父親である皇帝は次期皇帝の座を実の息子である彼ではなくマキシマスに譲ろうとした。
彼の姉であるルッシラはマキシマスを愛した。
兵士たちはマキシマスを慕った。
マキシマスを追放してからも、剣闘士としての彼に市民は声援を送った。
 
対するコモドゥスは野心家で、姉を愛し、帝国を治めるという夢を持っていたが誰からも期待されていなかった。
誰からも認められていなかったのだ。
だからこそ彼は、自分の欲しいものをすべて持っているマキシマスに対して「嫉妬」から敵対心を持ち、その思いを陥れるという最悪の方法で解消してしまったのだ。
 

人と自分を比べて「嫉妬」する

突然だが私は今俳優を目指している。もともと俳優に憧れはあったものの勇気が出ず何もしてこなかった。
しかし、大学生という最後の学生生活を送るにあたり後悔をしたくないと思い俳優を目指し始めた。
事務所に所属しレッスンを受け、配信を始め、オーディションを受けと新しいことばかりで慣れずに大変ではあるが、充実感があり楽しさも感じている。
 
しかし、同じ俳優を目指している人と自分を比べて「嫉妬」することが増えている。
 
コモドゥスと同じ「嫉妬」の感情が増加してきているのである。
そのために私はコモドゥスのことを完全には否定できなかったのだ。
人と比べず自分は自分だから大丈夫だと思える強い心があれば「嫉妬」をせずに済むのだろうが。
 
だが、そう簡単にはいかずどうしても他人に対して「嫉妬」を抱いてしまう。
そんな自分が嫌で自分に対する嫌悪感を持つこともあるのだが、この映画を見て大切なのは「嫉妬」を持たないということではないと感じたのだ。
 

「自分や他者の夢や目的のために使うか」それとも「人を陥れるために使うか」


生きていく上で人は奇麗事だけでは生きていけない。
この映画においても主人公マキシマスは「復讐(ふくしゅう)」を目標とし、コモドゥスの姉ルッシラも保身のために多くの「噓(うそ)」をついていた。
どちらも正しいことではない。
しかし映画を見る上で彼らには痛快さを感じる。
 
彼らとコモドゥスとの違いは、「復讐」や「嘘」、「嫉妬」を「自分や他者の夢や目的のために使うか」それとも「人を陥れるために使うか」という点である。
 
コモドゥスはマキシマスを陥れるために「嫉妬」を使ってしまった。
しかし、マキシマスは「復讐」を家族の敵を取るための自分の原動力として、ルッシラは「噓」を自分の子供を守る為の手段として使っていた。
 
そう、コモドゥスが「嫉妬」を自分が周囲から認められ期待されるための努力の原動力として使っていたら、彼は皇帝としてうまくいっていたのかもしれない。
 
私はこの映画を見て大切なのは「復讐」、「噓」や「嫉妬」の感情を自分を動かすためプラスの原動力として使うことだと感じた。
 
「嫉妬」の元になるのは「憧れ」という感情である。
私は俳優という「憧れ」をつかむために心に抱える「嫉妬」を自分を高めるために利用していきたい。
 

弱い自分との戦い方

この映画では基本的に全員が戦っていた。
私はタイトルである「グラディエーター」は、剣闘士であったマキシマスだけを指しているわけではないと思う。
戦いが身近にあったこの時代で、それぞれが自分の夢や目標のために戦っていた。
 
しかし、人は人を陥れてはだめなのである。
 
夢のために「弱い自分と戦った」マキシマスやルッシラたちと、夢のために他人を陥れたコモドゥスとでは大きく結末が違う。
 
弱い自分と戦う勇気を持つこと、それが夢をかなえるために大切な事だと思う。
今胸の中に「嫉妬」などもやもやを抱えているのであれば「グラディエーター」を見て、自分なりの「弱い自分との戦い方」を見つけてはいかがでしょうか。
そう、人生の剣闘士となるためにも。
 
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ライター
花岡悠介

花岡悠介

はなおか・ゆうすけ
生年月日 : 2002年7月16日
出身地 : 福岡県  俳優
趣味 : 漫画を読むこと・バイオリン演奏
特技 : トロンボーン演奏・ユーフォニウム演奏
身長 : 171cm サイズ B : 77cm W : 63cm H : 84cm F : 26.5cm