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2024.9.02
イ・ミンホも出演。日本を舞台に在日コリアン一族の4世代のドラマを描いた「Pachinko パチンコ」シーズン2
在日コリアン一族を4世代にわたって追った米国ドラマ「Pachinko パチンコ」。世界的なヒットを記録してから約2年半、続編となるシーズン2の配信がApple TV+で始まった。毎週1話ずつ公開する。
シーズン1は在日1世のソンジャと孫ソロモンの姿を並行して描く
日本による朝鮮半島の統治、関東大震災、第二次世界大戦、日本経済の隆盛……。日韓を巡る怒濤(どとう)の80年を生きた人々の物語である。人によっては避けるテーマかもしれない。
しかし、メッセージ性が強い題材でありながら、筋書きは驚くほど淡々としている。フラットな目線で貧しさと差別と闘いながらも、家族や友人、隣人たちとささやかな幸せをつむぎ、荒波の中を強く泳ぐ姿が描かれており、少なからず胸を打たれるはずだ。良質なストーリーテリングだ。
舞台はシーズン1の韓国・釜山から日本に移る。第二次世界大戦末期の大阪と、バブル経済に浮かれる東京。二つの異なる時を生きる在日1世のソンジャ(キム・ミンハ)と、その孫・3世のソロモン(ジン・ハ)を並行して描く。敗戦とバブル崩壊という、どちらも日本が経験した2度の大きな破局を目前にした時代だ。
シーズン1は30年代後半、親族を頼って釜山から大阪にわたったソンジャが、2人の子どもたちと親族を養うためにリヤカーでキムチを売り歩く場面で終わる。牧師の夫は政治活動を理由に逮捕された。戦争のきな臭さが漂うなか、ソンジャは生きるか死ぬかの闘いを強いられる。
半世紀後の80年代・大阪。次男モーザスはパチンコ店を開き、繁盛させていた。モーザスの息子でソンジャにとっての孫が、ソロモンである。
ソロモンは、アメリカでビジネスマンとして成功していた。そのまま出世街道を歩くものだと自他ともに確信していたさなか、出張で来日する。東京でホテル建設のための用地買収を担当することになる。土地を頑として譲らなかった在日コリアンのハルモニ(おばあさん)を、ソロモンは「同胞として」説得しようとするのだった。
しかし、売買契約の場でソロモンはハルモニに土地を売らなくていいと言う。ハルモニから、来日した頃の苦労を聞かされ、ハルモニがそれまで大金を積まれても売らなかった家(土地)への思いを知ったためだ。契約は成立せず、ソロモンは会社を飛び出す。
原作はオバマ元大統領の「フェイバリット・ブックス」の一冊
シーズン2はソンジャとソロモンたちの「その後」の話。ソンジャのキムチは好評で、家族を食べさせていくだけの稼ぎがあったが、戦時の食糧事情の悪化で白菜の入手が難しくなる。夫の行方は分からないままだ。仕方なく手を出したマッコリの密造で検挙されてしまう。苦境を救ったのはかつての恋人だった。ソンジャの長男ノアの父親ハンス(イ・ミンホ)だ。ハンスは、ソンジャ一家のために、米軍の空襲から逃れられる場所を用意したと言う。
ノアとモーザスの様子も丹念に描かれている。学校の同級生たちに差別され、悔しい思いをしながらも、賢く、たくましく暮らしていた。
会社を辞めたソロモンは、ひとりで投資ファンドを運用すべく買い手探しに奔走する。しかし、用地買収を不成立に終わらせたことを根に持つ日本人の元上司の妨害に遭う。八方ふさがりになり、この上司の元を訪れる。ここまでが配信中の1話目のストーリー。
シーズン1の公開後、本作は世界で話題になった。原作は、韓国系米国人の作家、ミン・ジン・リーが2017年に発表した同名の小説。オバマ元大統領が推薦する「フェイバリット・ブックス(愛読書)」の一冊にもなっており、こちらもベストセラー。
重厚な原作を、映画「ミナリ」でオスカーに輝いたユン・ヨジョン、あまたのドラマに出演する「韓流四天王」の一人イ・ミンホら豪華俳優陣が彩る。
「Pachinkoパチンコ」シーズン1~2はApple TV+にて好評配信中