この1本:ミナリ 大草原にまく故国の種
移民が造った国だから、米国の映画に移民たちの物語が描かれるのは当然だ。しかしハリウッドの主流は欧州系、最近ではアフリカ系や南米系も発言力を増しているが、アジアは中国系の独壇場だった。「ミナリ」は韓国系移民の物語。米国の「多様性」はようやくアジアにも目を向け始め、ハリウッドでの韓国勢の存在感は着々と増している。 1980年代のレーガン政権時代。ジェイコブ(スティーブン・ユアン)は、南部のアーカンソー州に、家族4人でやってきた。妻のモニカ(ハン・イェリ)と共に韓国から移り住み孵卵(ふらん)場で10年働き、農業で成功したいと一念発起したのだ。間もなくモニカの母スンジャ(ユン・ヨジョン)を呼び寄せて子...