「ユンヒへ」©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

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2022.7.07

中村優子が気になる 「ユンヒへ」 鈴木隆

2022年もはや7月。上半期の映画界では、新作に加えてコロナ禍で延期されていた作品がようやく公開され、ヒットも続発。映画館のにぎわいも戻ってきた。ひとシネマ執筆陣が5本を選び、上半期を振り返ります。

鈴木隆

鈴木隆

①ユンヒへ(イム・デヒョン監督)
②なん・なんだ(山崎晋平監督)
③春原さんのうた(杉田協士監督)
④麻希のいる世界(塩田明彦監督)
⑤わたし達はおとな(加藤拓也監督)


「なん・なんだ」©なん・なんだ製作運動体

中高年の愛欲、エネルギー

気になった女優を中心に選んだ5本。「ユンヒへ」の中村優子は歩く姿、たたずまい、セリフの出し方など一挙手一投足が気になる女優。どんな役もこなす力量はもっともっと高く評価されるべきだ。日本生命のCMでもその一端が見える。「なん・なんだ」の烏丸せつこは中高年の消えることのない愛欲、エネルギーを噴出させて地に足が着いている。同作品の和田光沙も負けず劣らず。本作のみならずどの作品でも助演賞候補になっておかしくない実力派。

「春原さんのうた」の荒木知佳は、さりげない存在感が圧倒的。声が醸し出す空気感で独特の世界を創り出す。杉田協士監督の非情な演出に負けない力強さにうなった。「麻希のいる世界」の日高麻鈴は10代特有のえん世観が作品の肝になっていて、1970年、80年代日本映画の味わいも感じた。「わたし達はおとな」の木竜麻生はこの作品でさらにグレードアップ。ラストシーンは「もう頬づえはつかない」をほうふつとさせて大女優の片りんも。
 
シネマの週末:ユンヒへ

ライター
鈴木隆

鈴木隆

すずき・たかし 元毎日新聞記者。1957年神奈川県生まれ。書店勤務、雑誌記者、経済紙記者を経て毎日新聞入社。千葉支局、中部本社経済部などの後、学芸部で映画を担当。著書に俳優、原田美枝子さんの聞き書き「俳優 原田美枝子ー映画に生きて生かされて」。

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