出版社が映画化したい!と妄想している原作本を担当者が紹介。近い将来、この作品が映画化されるかも。
皆様ぜひとも映画好きの先買い読書をお楽しみください。
2022.4.13
「トラベルミステリー」+「寅さん」
警察小説の俊英として大活躍されている鳴神響一さんに本書のご相談をしたのは、3年ほど前のことでした。
折しも、「脳科学捜査官 真田夏希」シリーズが大ヒットし、各社で新シリーズが相次いでスタート。「脳科学」「オタク」「駐在」など、特色ある他社作と差別化するために必要なものは? 末永く愛してもらうために必要なものは?
打ち合わせの結果導きだしたのが、下記のシリーズルールでした。
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◎主人公の女性監察官が全国の警察署を行脚する
◎各警察署の不正を糺(ただ)し、難事件を解決する
◎現地の誰かといい仲になる(なりそうになる)
◎その関係は、惜しくも崩れる
◎そして、また別の県の警察に向かう
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「寅さん」をやる記念すべきシリーズ1作目
どこかで見たことがあるような……。
そう、参考にさせていただいたのは、あの国民的人気映画「男はつらいよ」です。
本作は、「トラベルミステリー」という枠組みで「寅さん」をやるというコンセプトのもとに生み出されたシリーズなのであります!
記念すべきシリーズ1作目となる本作。主人公、朝倉真冬が向かうのは網走です。
1年前に起きた女性写真家殺人事件に関し不審な点が。浮かび上がったのは、網走中央署捜査本部の不正疑惑。旅行系ライターと身分を偽り、取材を装いながら組織の闇に近づいていくが――。
旅行好きの著者が何度も訪れたという網走。観光、温泉、グルメと情報てんこ盛りで、読めば網走に行きたくなること間違いなし。
最後まで油断ならない謎解きは驚きの連続。
そして、真冬が抱く淡い恋心に胸キュン必至。
「トラベルミステリー」の王道を貫きつつ「寅さん」のテイストを織り込んだ、一気読み間違いなしの快作に仕上がっております。
製作中から今にいたるまで、私の妄想は広がる一方です。
圧倒的に強固な「型」裏打ちされた抜群の安心感
本書が映画化されたとしたら――。
そして大ヒットを記録したとしたら――。
本家「男はつらいよ」のように、年末年始のお楽しみ映画として毎年公開され続け――。
「今年の真冬はどこに行くんだろう」とファンは心待ちにし――。
「いよいよ真冬の恋は叶(かな)うのか」と期待する――。
血湧き肉躍る鑑賞体験ばかりが映画の醍醐味(だいごみ)ではありません。
圧倒的に強固な「型」に裏打ちされた抜群の安心感。これを求める方も多数いるのではないかと推察します。
「男はつらいよ」以降失われたと思われる「ご長寿シリーズ映画」文化を継承するためには、本書を原作にするのが最良の一手であると断言いたします!
ちなみに2巻目は、2022年9月刊行予定。年2冊ペースでシリーズは続いていきます。
つまり、原作には事欠かないということ!
ご長寿シリーズ映画に興味を持たれている映画関係者の皆様、ぜひぜひ本書にご注目くださいませ。
第二の「寅さん」を目指そうではありませんか。