「モリコーネ 映画が恋した音楽家」 ©2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras

「モリコーネ 映画が恋した音楽家」 ©2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras

2023.1.13

「モリコーネ 映画が恋した音楽家」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

2020年に91歳で死去した映画音楽家エンニオ・モリコーネの足跡をたどるドキュメンタリー。長期の密着取材で本作を完成させたのは、「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督。2時間37分のボリュームに加え、中身の充実ぶりにも驚かされる一作だ。

作曲家ゴッフレード・ペトラッシに師事したのち、編曲者として成功を収めた青年時代。幼なじみのセルジオ・レオーネ監督と組んだ「荒野の用心棒」の音楽で一躍脚光を浴びたものの、クラシックを捨てて商業音楽に走ったことへの苦悩など、意外な真実が本人の口から語られる。天性の才能とたゆまぬ実験精神が築き上げたフィルモグラフィーは500本以上におよび、代表作のみならず「アルジェの戦い」「殺人捜査」「歓(よろこ)びの毒牙」といったマニアックな作品にも言及しているのがうれしい。クエンティン・タランティーノ、ベルナルド・ベルトルッチなど、モリコーネにゆかりある大勢の著名人が出演。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか。(諭)

ここに注目

冒頭、カーペットに寝転んでストレッチする姿こそ映し出されるものの、暮らしぶりが見える場面はほぼない。仕事人としての側面にフォーカスしたドキュメンタリーゆえの満足感が得られる1本。ローランド・ジョフィ監督の「仕事中の彼はアスリートのよう」という言葉に納得。(細)

モリコーネ 映画が恋した音楽家

2020年7月、エンニオ・モリコーネが亡くなった。享年91歳。生涯に500作品以上の映画とTV作品の音楽を手掛け、アカデミー賞では「ヘイトフル・エイト」(2015)で受賞のほか、6度のノミネートがあり、2006年に全ての功績を讃える名誉賞にも輝いた。
「ニュー・シネマ・パラダイス」や「鑑定士と顔のない依頼人」でコンビを組んだジュゼッペ・トルナトーレ監督が、5年に渡る密着取材によるドキュメンタリー映画を完成させた。モリコーネのメロディを聴くだけで、映画に胸が高鳴り涙した瞬間が蘇る。私たちの人生を豊かに彩ってくれたマエストロに感謝を捧げる、愛と幸福に満ちた音楽ドキュメンタリー。これがモリコーネの生前の姿を捉える最後の作品となった。

公開:2023年1月13日
配給:ギャガ
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