「母の聖戦」 © MENUETTO FILM, ONE FOR THE ROAD,LES FILMS DU FLEUVE, MOBRA FILMS,TEOREMA All rights Reserved.

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2023.1.20

「母の聖戦」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

メキシコ北部の街。シングルマザーのシエロ(アルセリア・ラミレス)のひとり娘が誘拐されてしまう。身代金を支払っても娘は戻らず、誘拐事件が多発するこの街では警察も動いてはくれない。シエロは娘を取り戻すため、自力で犯罪組織に立ち向かう。

実話を基にメキシコの誘拐ビジネスの暗部に切り込み、カンヌ国際映画祭や東京国際映画祭でも注目された問題作。軍のパトロール部隊とも協力して危地に飛び込んでいくシエロの姿を、臨場感と緊迫感あふれる映像で描いた。

愛する娘を取り戻したいと願うひとりの母親が直面するには、あまりにも血なまぐさい現実。市民が戦士となり、暴力とは切り離せない〝聖戦〟を繰り広げる様を通して、腐敗や格差がはびこる世界の断面をまざまざと見せつけてくる。名匠、ダルデンヌ兄弟らがプロデューサーとして参加。ドキュメンタリーを手がけてきたテオドラ・アナ・ミハイ監督が、馬力を感じさせるフィクションとして完成させた。2時間15分。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(細)

ここに注目

犯罪組織や腐敗した警察、冷淡な世の中。数々の敵に立ち向かうシエロが強くなるほど、元夫、グスタボのふがいなさが際立つ。シエロが娘のために取った行動は「母性」の一言で済ませるにはあまりに強烈。謎めいたラストと合わせ、どう受け止めるべきか。戸惑いが残っている。(倉)

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