君は永遠にそいつらより若い

君は永遠にそいつらより若い

2021.9.16

君は永遠にそいつらより若い

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

児童福祉司への就職が決まった堀貝(佐久間由衣)は、同じ大学の猪乃木(奈緒)と知り合い、親しくなっていく。堀貝は卒業を前に「自分にはとても大切なものが欠落している」との思いに駆られ、友人らとの出会いの中で、自分への自信のなさや諦念を抱えながらもがく姿を描いた。

津村記久子の同名デビュー作の映画化。猪乃木を今も苦しめる心と体の傷、友人の親友の自死、バイト仲間の性的悩みなど他者の苦しみを、堀貝はすんなりと共有、もしくは近づこうとしてしまう。今の時代にあっては、不器用というかおせっかいな生き方と見られ、損な発想や行動と一言で片付けられてしまうかもしれない。それでも、堀貝のキャラクターをノリが良くてお調子者、どこにでもいそうな大学生にしたことで、うっとうしくて面倒に映る部分を超えて、自己嫌悪や焦燥の中で誠実に生き抜いてほしいという思いがじわじわとしみてくる。最後まで淡々と彼らを見つめる吉野竜平監督の視線が優しい。1時間58分。東京・テアトル新宿、大阪・テアトル梅田ほか。(鈴)

異論あり

最後まで、目の前に見えているホリガイという人物と、彼女の言動がかみ合っていないような違和感があった。特に彼女の言葉には、原作を読まずに見ているにもかかわらず原作である小説の存在を感じてしまう。言葉の少ないイノギのほうが、一人の人間としての感触がある。(久)