遠くへ、もっと遠くへ

遠くへ、もっと遠くへ

2022.8.12

特選掘り出し!:「遠くへ,もっと遠くへ」 北の海辺、終わらぬ旅路

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

この夏、いまおかしんじ監督作が4本公開される。ちょっと切なくて、どうしようもなくて、でもトーンは決して暗くない男と女のお話。深刻なことはあっても、軽やかに無理せず前を向こうとする。情けないけどいとおしい「いまおかワールド」全開の1本だ。

小夜子(新藤まなみ)は感情のもつれから夫との離婚を考えていた。離婚後の住まい探しを始め、不動産屋の洋平(吉村界人)と知り合うが、夫から先に離婚を切り出されてしまう。一方、洋平は3年前に失踪した妻光子に未練があった。小夜子は洋平をけしかけ、2人は光子を捜す旅を始める。

自分の心のままに行動する小夜子、妻に捨てられグズグズしていた洋平。2人は北海道で光子に会う。洋平への恋心を抱く小夜子と妻への思いに終止符を打とうとする洋平は、むさぼるように愛し合う。旅はどこまで続くのか。いまおか監督は東京に戻った生活を見せず、北の海辺で「もっと遠くへ行きたい」と戯れる2人を柔らかな目で見つめる。ロマンチシズムがスクリーンを満たしていく。いまおか監督の「あいたくてあいたくてあいたくて」も同時期に公開。1時間47分。13日から東京・新宿K'scinema、9月3日から大阪・シアターセブン。(鈴)

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