いまおか しんじ
1965年10月05日 生まれ
監督作「遠くへ、もっと遠くへ」「あいたくてあいたくてあいたくて」
30年以上生きて化け猫になったあんずちゃん(声・森山未來)は、人語を解しスクーターを乗りこなしてお寺の寺男として働いている。和尚の息子が現れて11歳の娘かりん(五藤希愛)を預けていったために、あんずちゃんは夏休みの間の世話係となった。 人を食ったと、あきれるなかれ。タイトルと設定と絵柄から予想される興趣のはるか上を行く佳品。だらしない中年オヤジのごときあんずちゃんは情に厚い人格者(?)で、頼りない父親を、不満だらけでも慕うかりんを見守る。その距離感が絶妙で、多感な少女のひと夏の物語としてみずみずしい。 あんずちゃんにしか見えない貧乏神とか妖怪とかが現れるとぼけたエピソードは脱力系のコメディ...
2024.7.19
いろんな意味で、取るに足りない話なのだ。片思いの女性に10年間フラれ続け、相手が別の男と結婚してしまう――というだけ。主人公の恋心に人生を懸けるほどの切実さはないし、2人に劇的展開も訪れない。それでも、踏ん切りのつけられない感情を引きずる甘痛い感覚は妙にリアルで、胸をうずかせるのである。 高校生のボク(青木柚)は、入部した体操部で一緒になったまなみ(中村守里)に一目ぼれ。思いを伝え続けるものの関係は友だち以上には進まない。高校卒業後も時折まなみと再会しては求婚し、フラれるの繰り返し。高校時代の友人や先輩との挿話を交え、その歳月が淡々とつづられる。 ボクは要領が良く、群れずに我が道を行くタイ...
2023.9.29
この夏、いまおかしんじ監督作が4本公開される。ちょっと切なくて、どうしようもなくて、でもトーンは決して暗くない男と女のお話。深刻なことはあっても、軽やかに無理せず前を向こうとする。情けないけどいとおしい「いまおかワールド」全開の1本だ。 小夜子(新藤まなみ)は感情のもつれから夫との離婚を考えていた。離婚後の住まい探しを始め、不動産屋の洋平(吉村界人)と知り合うが、夫から先に離婚を切り出されてしまう。一方、洋平は3年前に失踪した妻光子に未練があった。小夜子は洋平をけしかけ、2人は光子を捜す旅を始める。 自分の心のままに行動する小夜子、妻に捨てられグズグズしていた洋平。2人は北海道で光子に会う...
2022.8.12
本作は、東日本大震災の地震と津波、そして原発事故の深い傷跡が3年経っても残る福島で生きるある家族の姿を描く。監督は、「ダラダラ」(2021年)で長編映画デビューした山城達郎。「ダラダラ」でもタッグを組んだ竹浪春花の脚本を気に入り、長年温めていた企画が、日本芸術文化振興会の若手映画監督支援に選出されたことをきっかけに実現した。 福島のある小さな村に住む心平は、天文台で働く妹と、兼業農家の父を手伝いながら暮らしていたが3年前に起きた原発事故によって農業が出来なくなり、職を転々としたが今は無職である。父親の一平は、そんな心平に軽度の知的障害があることに向き合えないでいる。小遣いをやるだけで、息子の...
本作は、体が入れ替わってしまう男女のドタバタ劇と同性愛者たちのデリケートな恋愛事情を絡ませた恋愛映画。脚本・監督は、「海辺の恋人」「道で拾った女」「天国か、ここ?」(いずれも2023年)などの監督作や、「銀平町シネマブルース」「まなみ100%」(いずれも2023年)の脚本を手がけたいまおかしんじ。 主人公・たかしを演じるのは、「銀平町シネマブルース」やドラマ「酒癖50」(ABEMA)などで再注目される小出恵介。たかしと体が入れ替わってしまう女・サトミを演じるのは2022年にグラビアデビューした風吹ケイ。たかしの妻役に「卍」(23年)の光子役の新藤まなみ。そして、たかしとサトミを陰から見守るゲイ...
TV アニメ「宝⽯の国」や「BEASTARS」、「映画クレヨンしんちゃんシリーズ」などを手がけ、アニメーター・イラストレーター・漫画家とて活躍する気鋭のクリエイター久野遥子監督と、「リンダリンダリンダ」(2005年)や「天然コケッコー」(07年)、「マイ・バック・ページ」(11年)、「カラオケ⾏こ!」(24年)など、多彩な作品を手がけてきた山下敦弘監督がタッグを組んだ。本作は、実写で撮影した映像をトレースしてアニメーションにする「ロストコープ」という⼿法を採用。⼭下監督を中⼼とした実写映画界のスタッフによる実写班が、実写映画そのままに撮影し、そのお芝居の映像やセリフの録音をもとに、久野監督がス...
「れいこいるか」(2020年)や「葵ちゃんはやらせてくれない」(21年)、「天国か、ここ︖」(23年)など、亡き⼈との交流をテーマにした作品を作り続けるいまおかしんじ監督の最新作。本作は、⻑距離トラックを舞台に、拾われた⼥と、捨てられた男のロードムービー。 ある日、トラック運転⼿の春⽇部⻯平(浜⽥学)は、ホームレスをしているというのぞみ(佐々⽊⼼⾳)が公園で襲われているところを助ける。妻の待つ家に帰りたくない竜平は、「このトラックに乗ってくれるだけで⼀⽇5000円出す」と声をかける。道中でデリヘル嬢や街頭詩⼈、ヤクザに追われる男ら⼀癖も⼆癖もある人たちと遭遇しながらトラックで移動を続けるうち...
平凡さを嫌う自分勝手で変わり者で器械体操部の〝ボク〟と、普通に生きる同じ部活のまなみちゃんの愛と青春の10年間を描く。監督は、「 変わらないで。百日草 」(2017年)や「 満月の夜には思い出して 」(18年)で注目された新鋭の 川北ゆめき。本作は、川北自身が体験した実話を基に、いまおかしんじが脚本を担当した。出演は、映画「うみべの女の子」(21年)や「はだかのゆめ」(22年)など、主演作が続く青木柚。舞台や映画化された「アルプススタンドのはしの方」(20年)の中村守里がダブル主演を務める。 ©「まなみ100%」フィルムパートナーズ
阪神・淡路大震災を題材にした「れいこいるか」(2020年)が、2020年映画芸術ベストテン1位になり、2022年も「甲州街道から愛を込めて」「遠くへ、もっと遠くへ」「あいたくてあいたくてあいたくて」「神田川のふたり」と公開作が続いた、いまおかしんじ監督作品。友人の川島伸夫が亡くなった地を作品の舞台に定め、林由美香、上野俊哉、伊藤猛、江利川深夜、鴨田好史。鬼籍に入った彼らとの邂逅。 川島伸夫が缶チューハイ片手に海にやってくる。妻の麻由子、上野、そして由美香に出会う。さらに歩いていると、麻由子の元旦那・猛と出会う。猛は麻由子を残して死んだことが心残りだったと言って泣く。 ©️国映株式会社/坂本...
監督は、「遠くへ,もっと遠くへ」や「あいたくて あいたくて あいたくて」など、2022年に4 本の作品を公開したいまおかしんじ。夢に向かってもがく30歳前後の男⼥の出会いから別れまでを描いた。キャリアを掴もうと奮闘するカメラマンアシスタントの百合⼦を演じたのは、 グラビアで活躍する傍ら、いまおか作品「農家の嫁は、取扱注意︕」(2021年)で映画デビューしたフミカ。その百合⼦と出会う売れない⼤道芸⼈のシンジを若⼿の注⽬株、⼩林優⽃が演じる。 海辺の町で出会ったカメラアシスタントの百合⼦(28)と売れない⼤道芸⼈シンジ(32)は意気投合し、いつしか同棲⽣活が始まる。互いの夢を応援しあう2人だった...
監督は、「彗星まち」(1995年)で監督デビューし、「たまもの』(2004年)や「島⽥陽⼦に逢いたい」(2010年)、「あなたを待っています」(2016年)、「れいこいるか」(2019年)などのいまおかしんじ。「クロス」(2017年)や「夜明けまで離さない」(2018年)、「にじいろトリップ」(2021年)、「マッチング」(2023年)などの宍⼾英紀が脚本を書いた。ヒロインの可南⼦役は前作「あいたくて あいたくて あいたくて」(2022年)でコミカルで可愛らしい中年⼥性を演じた丸純⼦。可南⼦が恋する年下男性を演じたのは若⼿実⼒派の細⽥善彦。可南⼦の夫役に川瀬陽太、息⼦役に平井亜⾨。主⼈公が働く...
城定秀夫といまおかしんじが監督と脚本で初タッグ。時代遅れの映画館を舞台に、くすぶっている元映画監督と、映画好きの愛すべきバカ者たちが一瞬の夢を見るために奔走する。 出演は本作が本格的な主演復帰となる小出恵介と、浅田美代子、渡辺裕之、吹越満、藤田朋子、片岡礼子らベテラン俳優陣、人気ミュージシャンの藤原さくらと、Podcast番組が人気の日高七海、さらに、宇野祥平や中島歩、さとうほなみ、小野莉菜、平井亜門ら城定秀夫監督の過去作出演の面々が顔をそろえた。 ©️2022『銀平町シネマブルース』製作委員会
コロナ禍の湘南。勤めていた会社が倒産し、フードデリバリーの配達員になった良太郎。ある⽇、良太郎は同棲中の恋⼈・かづきの浮気現場に遭遇した。「ただの浮気じゃん」と開き直るかづきに反省の気配はなし。悶々とした⽇々を過ごす中、妖艶な⼈妻・さとりに「浮気しない?」と誘われる良太郎。どうやらさとりも夫のベトナム⼈とワケアリの様⼦。いざ、さとりと関係を持つと、良太郎は原因不明の激しい頭痛に襲われて……。 Ⓒ 2021 国映株式会社/坂本礼