「秘密への招待状」

「秘密への招待状」© ATW DISTRO, LLC 2019

2021.2.11

「秘密への招待状」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

インドで孤児院を経営するイザベル(ミシェル・ウィリアムズ)は資金不足に頭を痛めていた。そこに、会社経営者のテレサ(ジュリアン・ムーア)から200万㌦寄付するのでニューヨークに来てほしいという話が舞い込む。テレサは週末にある娘の結婚式にもイザベルを強引に招待する。イザベルは式でテレサの夫を見てあぜんとする。

デンマーク映画「アフター・ウェディング」のリメーク。設定を一部変えているものの、元々のスザンネ・ビア監督作品が持つ繊細な心理描写が息づいている。男女や親子の心の機微を丁寧に映し出し、それぞれの生き方も違和感なく物語に溶け込んでいる。葛藤と決断が強まる後半には、人の強さや弱さ、切なさがじわじわと心にしみてくる。それもムーア、ウィリアムズの2人の演技の巧みさによるところが大きい。インドの貧困地域とニューヨークのセレブの描写のコントラストも効いている。バート・フレインドリッチ監督。1時間52分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか。(鈴)

異論あり

オリジナルでは男性だった2人の主人公を女性に変えてリメークされている。男性と女性とでは、この物語における〝秘密〟の意味合いが少し違ってより複雑になりそうに思ったのだが、案外あっさりしたいい話にまとまっていた。もっとドロドロしていてもよかったのに。(久)

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