「リフレクション」  ©Arsenal Films, ForeFilms

「リフレクション」 ©Arsenal Films, ForeFilms

2022.6.24

時代の目:「アトランティス」「リフレクション」 戦争が砕く人間の精神

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

先ごろ公開されたセルゲイ・ロズニツァ監督の「ドンバス」に続き、ウクライナの戦禍を描いた2作品を緊急公開。ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督が手がけた「アトランティス」(2019年、1時間49分)と「リフレクション」(21年、2時間6分=写真)だ。

「アトランティス」はロシアとの戦争が終結した25年を舞台にした近未来映画。生きる目的を失った元兵士の彷徨(ほうこう)を描く。マリウポリの製鉄所の風景、サーモグラフィーカメラを用いたショットが鮮烈なまでに脳裏に焼きつく。

戦争の火蓋(ひぶた)が切られた14年にさかのぼった「リフレクション」は、東部戦線から首都キーウ(キエフ)に帰還した外科医の物語。共に心に傷を負った12歳の娘との触れ合いを通して、人間の生と死という根源的なテーマを探求した。

両作品とも戦闘シーンはほとんどない。ワンシーン・ワンカットの演出スタイルを貫くヴァシャノヴィチ監督は、国土のみならず人間の精神を破壊する戦争の恐ろしさを、生々しい実景や象徴的なイメージで表現した。かすかな希望のありかも模索し、深遠にして胸に迫る映像世界がここにある。東京・シアター・イメージフォーラム(25日から)、大阪・シネ・リーブル梅田(7月1、8日から)。(諭)

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