モンタナの目撃者 © 2021Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

モンタナの目撃者 © 2021Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

2021.9.02

モンタナの目撃者

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

森林消防隊員として山火事による凄惨(せいさん)な事件を経験し、死者を出したことに今も罪悪感を抱き続けているハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)は森の監視任務中、暗殺者に父を殺されて森の中を逃げてきた少年コナー(フィン・リトル)と出会う。ハンナはコナーを守りながら、執拗(しつよう)な追っ手と彼らが引き起こした山火事に立ち向かう。

スパイや殺し屋役で数々のアクションを披露してきたアンジーが11年ぶりに挑んだ敵は、背後から迫りくる暗殺者と目の前に立ちはだかる炎。極限状態の中、20㍍ほどの監視塔から飛び降りたり雷に打たれても立ち上がったり、何が起きても諦めないハンナの強さに説得力を持たせられるのはアンジーだけだろう。

父から託された秘密を守ろうと、ハンナにもかたくなな態度のコナーと心を通わせていく過程には心が温まる。人間の意志が及ばない巨大な炎の迫力の映像は大きなスクリーンで見たい。テイラー・シェリダン監督。1時間40分。東京・TOHOシネマズ日本橋、大阪ステーションシティシネマほか。(倉)

異論あり

「ウインド・リバー」など、辺境の地を舞台にした硬派な犯罪劇で名をはせたシェリダン監督。スター女優ジョリーと組み、スケールのでかい娯楽活劇に挑んだ今回は、やや大味な仕上がり。それでも主人公の再起のドラマと雄大なロケーション、アクションを融合した手腕はさすが。(諭)