2024年を代表する映画、俳優を選ぶ「第79回毎日映画コンクール」。時代に合わせて選考方法や賞をリニューアルし、新たな一歩を踏み出します。選考経過から受賞者インタビューまで、ひとシネマがお伝えします。
2025.1.31
主演俳優賞 横浜流星の理知、優しさ、暴力性 第79回毎日映画コンクール【選考経過・講評】
第79回毎日映画コンクール各賞が決まった。俳優部門は今回から、男女の別を廃止した。「主演俳優賞」「助演俳優賞」とし、それぞれ2人までを受賞者とする。約70人の選考委員による投票の上位得票者が候補となり、2次投票を実施。
候補者は、石原さとみ(ミッシング)▽上白石萌音(夜明けのすべて)▽河合優実(あんのこと)▽河合優実(ナミビアの砂漠)▽草彅剛(碁盤斬り)▽草笛光子(九十歳。何がめでたい)▽山口馬木也(侍タイムスリッパー)▽横浜流星(正体)。作品ごとに候補となるため、河合は2作品で対象。2次投票の結果、河合が「あんのこと」「ナミビアの砂漠」で同数の票を獲得。横浜流星とともに2人受賞となった。
「正体」©︎2024 映画「正体」製作委員会
役柄引き寄せ全力で
【講評・横浜流星】「正体」は、役柄をぐいと自分に引き寄せ、全力で演じきってみせる俳優、横浜流星の資質の貢献度が大きかった。建設作業員、フリーライター、介護施設の職員……。名前を変え正体を隠しながら、潜伏し逃亡を続ける脱走死刑囚役の変化(へんげ)は、期待どおり。だがそれにも増して、隠している正体からしみ出す隠しきれない素の人格。鋭敏な理知、無意識の仕草や言葉に宿す優しさ、ときに怒りや暴力性まで。存在を印象づける秀逸な演技を評価した。(きさらぎ尚)