「TANG タング」©2015 DI ©2022 映画「TANG」製作委員会

「TANG タング」©2015 DI ©2022 映画「TANG」製作委員会

2022.8.12

TANG タング

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

医師を目指していたものの現在は無職の健(二宮和也)は、毎日だらだらと過ごしている。ついに妻の絵美(満島ひかり)に家から追い出された彼は、庭で見つけた古いロボット、自称「タング」を製造元に持ち込めば最新型と交換してもらえると知り、福岡へと向かう。そこでタングがただの旧式ロボットではないことがわかり、ポンコツな2人の長い旅が始まった。

魅力はなんといってもタングのかわいらしさ。カクカクした形や動きには懐かしさも感じる。そんなタングと心を通わせるのが無垢(むく)な少年ではなくダメ男なためか、夏休みにぴったりの冒険ファンタジー的な内容ながら大人も違和感なく入り込める。舞台は少し未来のようだが、進化したものと今も昔も変わらないものがほどよく混在した空間も心地が良い。闇が深そうなタングの過去の掘り下げ方や悪役の頼りなさに物足りなさは感じるものの、家族で気軽に楽しむにはちょうど良いのかも。三木孝浩監督。1時間55分。東京・新宿バルト9、大阪ステーションシティシネマほか。(久)

ここに注目

タングのかわいらしさは誰もが認めるところ。健が住む家の裏庭などちょっとした映像が鮮やかで美しく、ファンタジーの世界へ引き込んでくれる。タングの過去や未来の描き方など、ご都合主義だと感じる部分もあるが、あくまでもおとぎ話としてのんびりまったり楽しみたい。(倉)