「恋する寄生虫」©2021「恋する寄生虫」製作委員会

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2021.11.11

「恋する寄生虫」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

極度の潔癖症の若者、高坂(林遣都)が見知らぬ男に弱みを握られ、視線恐怖症の女子高校生、ひじり(小松菜奈)の面倒を見ることに。社会に適応できない高坂とひじりは、リハビリの名目でデートを重ねるうちに恋に落ちていく。しかし2人が引き合わされた背後で、ある〝寄生虫〟をめぐる研究が行われていた。

原案は三秋縋(すがる)の同名小説。共に問題を抱えて生きることに絶望し、自分の殻に閉じこもった若い男女が、ぎこちなくも心と体の距離を詰めていく。エキセントリックなキャラクターに切実な感情を吹き込んだ林と小松が魅力的。ロケーション、色遣い、音楽に趣向を凝らしながら、ロマンチックな世界観を構築した柿本ケンサク監督のセンスも際立つ。その半面、潔癖症の苦しみを表現した視覚効果はいささか露悪的で、人間の頭の中の寄生虫が社会不適応や恋を引き起こすというSF的な設定も浮いている。あれこれ盛り込み、手を加えすぎて、必要以上に映画をややこしくしてしまった。1時間40分。東京・角川シネマ有楽町、大阪・梅田ブルク7ほか。(諭)

異論あり

潔癖症や視線恐怖症は切実な問題だ。だが、主人公2人はただイライラを爆発させているだけに見えて苦悩が伝わってこないし、ストーリーからも切実さは感じられない。映像はきれいでおしゃれだけど、見続けていると結構疲れる。何より、虫が苦手な人は避けた方がよさそう。(倉)

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