「アトランティス」「リフレクション」のバレンチン・バシャノビチ監督

「アトランティス」「リフレクション」のバレンチン・バシャノビチ監督

2022.3.15

ウクライナの未公開映画2作品を緊急上映

ロシアとの激しい戦闘が続くウクライナ。ニュースでは毎日、町が破壊されていく様子が映されています。映画は無力かもしれませんが、映画を通してウクライナを知り、人々に思いをはせることならできるはず。「ひとシネマ」流、映画で知るウクライナ。

ひとしねま

ひとシネマ編集部

クラウドファンディングで資金募る

 
3月29~31日、東京・渋谷で、ウクライナ映画の緊急上映会が企画されている。バレンチン・バシャノビチ監督の「アトランティス」(2019年)、「リフレクション」(21年)の2作品。日本では劇場未公開だが、ウクライナとロシアとの緊張関係を背景にした作品だ。
 
19年の東京国際映画祭のコンペティション部門で「アトランティス」が上映された縁で、当時の同映画祭プログラミングディレクター、矢田部吉彦さんの元に、ポーランドのセールスカンパニーから「作品の上映を通して支援しないか」との呼びかけがあったという。矢田部さんは有志を募り上映を企画。字幕制作などの経費をまかなうため、200万円のクラウドファンディングを開始、3月16日までにすでに240万円が集まっている。経費以上の資金は、ウクライナの映画人が映画を作り続ける活動に役立てるという。
 
「アトランティス」は近未来のウクライナ東部が舞台。戦場のトラウマに苦しむ主人公が、戦死者の遺体を掘り出すボランティア活動に参加する。バシャノビチ監督は「戦争が残したものを描こうと考えた」とコメントしている。
毎日デジタル 東京国際映画祭グランプリ予想「アトランティス」
 

「リフレクション」の一場面

「リフレクション」はクリミア紛争が始まった14年ごろの設定で、戦地に赴いた外科医の過酷な体験を描いている。
 
矢田部さんは「両作品とも、まず作品としてすばらしい。ロシアとの戦争と人間の心理を描いていて、まさに今見るべき映画。美的にも優れている。収益を寄付できれば、意義もあるのではないか」と話している。
 
バシャノビチ監督は家族を疎開させ、キエフに滞在中という。クラウドファンディングはこちらから。

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ライター
ひとしねま

ひとシネマ編集部

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