76回カンヌ国際映画祭コンペに出品される「怪物」3©2023「怪物」製作委員会

76回カンヌ国際映画祭コンペに出品される「怪物」3©2023「怪物」製作委員会

2023.5.13

第76回カンヌ国際映画祭間もなく開幕 パルムドール候補に是枝監督「怪物」、ベンダース監督が日本で撮影「パーフェクトデイズ」

第76回カンヌ国際映画祭が、5月16日から27日まで開催されます。パルムドールを競うコンペティション部門には、日本から是枝裕和監督の「怪物」、ドイツのビム・ベンダース監督が日本で撮影し役所広司が主演した「パーフェクトデイズ」が出品され、賞の行方がきになるところ。北野武監督の「首」も「カンヌ・プレミア」部門で上映されるなど、日本関連の作品が注目を集めそう。ひとシネマでは、映画界最大のお祭りを、編集長の勝田友巳が現地からリポートします。

勝田友巳

勝田友巳

第76回カンヌ国際映画祭が16日(日本時間17日)開幕する。最高賞のパルムドールを競うコンペティション部門には21作品が出品された。日本からは是枝裕和監督の「怪物」、それにドイツのビム・ベンダース監督が日本で撮影した「パーフェクトデイズ」もコンペ入りしている。


 「怪物」©2023「怪物」製作委員会

「面白いものができた」是枝監督

是枝監督は2018年に「万引き家族」でパルムドール、22年には韓国で製作した「ベイビー・ブローカー」を出品して主演のソン・ガンホが男優賞を受賞している。「2年連続でカンヌはハードルが高いと思っていたので、ホッとしている」とコメント。今作は人気脚本家の坂元裕二と初めて組み、久しぶりに自身以外の脚本で撮影した。「自分にはない発想があり、面白いものができた」とカンヌでの評価を待っている。公式上映は映画祭序盤の17日(同18日)だ。


「パーフェクトデイズ」
 
「パーフェクトデイズ」は、役所広司が演じる東京の公共トイレ清掃員の、端正な日常を静かに描く。映画は元々、公共トイレの改修と環境改善を図る「THE TOKYO TOILETプロジェクト」の一環として企画された。プロジェクトは柳井康司氏と日本財団が取り組み、渋谷区内17カ所の公共トイレを、安藤忠雄ら著名な建築家のデザインで全面改修。ユニバーサル化と快適さを備えた施設に一新させた。
 
映画製作は2022年5月に発表。ベンダース監督が来日し、主演の役所広司と記者会見した。この際は脚本準備のためでベンダース監督は「最初はトイレで映画?と思ったけれど、日本のトイレはユートピア的だと考えるようになった。平等で無料、きれいで安全、安心できる。トイレを『rest room(休憩室)』というが、本当の意味でそうなると思う」と話していた。こちらは期間終盤の25日(同26日)上映。


「THE TOKYO TOILETプロジェクト」の発表記者会見で並んだ、ビム・ベンダース監督(左)と役所広司=2022年5月11日、勝田友巳撮影

女性監督7人 新人も

コンペには過去2回パルムドールを受賞した英国のケン・ローチ、イタリアのナンニ・モレッティ、トルコのヌリ・ビルゲ・ジェイランらパルムドール監督が並び、米国のウェス・アンダーソン、イタリアのマルコ・ベロッキオ、フランスのトラン・アン・ユンら、映画ファンの目を引く名前がズラリと並ぶ。
 
女性監督は7人。中でもラマタトゥーライエ・シーは、初監督でコンペ入り。ベテランの中でどんな作品を見せてくれるか。審査員はスウェーデンのリューベン・オストルンド監督を長とする9人。授賞結果は27日に発表される。
 

「首」©KADOKAWA©T.N GON Co.,Ltd

北野監督「これで当たれば一もうけ」

コンペ以外にも、北野武監督の時代劇「首」が「カンヌ・プレミア」部門で上映される。本能寺の変は豊臣秀吉が画策したという大胆な構想だ。「テレビの時代劇はきれい事ばかり。人の業や欲、裏切りが描かれていない。自分が撮ればこうなるという発想」と話した。

北野監督のカンヌ出品は、2010年「アウトレイジ」がコンペ上映されて以来。完成報告会見で北野監督は「コンペにはあてはまらない強烈な映画で、別に上映したいということだった。それを聞いて、これなら興行も当たるな、一もうけできる。うれしい限り」と集まった報道陣を笑わせていた。

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ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。

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