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2022.2.21
のん,マルチタスクの才能が開花!映画「Ribbon」
女優はもちろんのこと、歌手、ラジオパーソナリティーや芸術家、まさにマルチタスクの才能を開花させているのん。
本作では企画・脚本・監督・主演までやってのけた。
自らの衝動と才能を信じて、それを全面に出し切り、いまいまを描いた愛らしい映画になっている。
未知のコロナウイルスがまん延し始めた2020年春。
美大の卒業制作展が中止となり、自分をかけた作品が自らの手で次々とゴミに変えられていく。
あふれるゴミ収集場。
浅川いつか(のん)が何とか持ち帰った作品も掃除に来た母にゴミと間違えられて捨てられる。
そして、公園で出会う男(渡辺大知)になんだかもやっとした感情を抱く。
さらには、持ち帰れない大きなサイズの作品を描いていた親友の平井(山下リオ)が学校から分身を持ち出せず、禁を破って不法侵入で絵を描き続けていたのだ。
©「Ribbon」フィルムパートナーズ
芸術が不要不急と言われたあの頃。
美術というゴミにもためにもなる人生を選んだ若者たちの葛藤と再生を描いた作品。
それは、捕まるだろう!と言う校内の暴挙もむちゃが許された僕らの世代には好ましい。
破壊と創造。
同世代には伴走して、過ぎた世代にはあの頃から大きく手を振って、励ましてくれるような映画。
とくに映像に常に出てくるリボンに心が絡め取られた。
のんが2021年の活動のモチーフにしていたリボンで感情を表現したい!という思いを見事に映像にした樋口真嗣、尾上克郎の特撮チームの手腕の素晴らしさ。
のんは樋口監督とは10代の頃に出会いいつか仕事をしようと話していたと言う。
©「Ribbon」フィルムパートナーズ
この作品、理性は置いて、感性で見てほしい。
僕はすっかりリボンのとりこになりました。
そして、ラストシーンはまさに最大のリボンの見どころ。
きっとエンディングのサンボマスターの曲とともにあなたの背中に小さな翼を授けてくれるはず。
おまけに予告編は岩井俊二。
同氏が監督した20年公開「8日で死んだ怪獣の12日の物語」に出演。
この映画は岩井作品に大いに影響を受け、撮影にあたり大いに研究したそうだ。
まさに、のんの衝動と才能を実現するドリームチームを彼女自身が結成したのだ。
余談だが、次々と現れる家族は未知のウイルスにちょっと過剰反応。コミカルだが、もしかしてあの頃僕らもやらかしていたかもしれない感染防止策の数々がものすごく懐かしく感じる。
©「Ribbon」フィルムパートナーズ
ぜひとも今週末劇場にてご覧ください。
追伸:先日仕事において成功とは何かと若手に問われた時、続けられる事と答えた。のんにはこの先も映画を撮り続けてもらいたいなあ。
©「Ribbon」フィルムパートナーズ