ひとしねま

2023.2.24

データで読解:新ジャンルのヒット続々

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ランキングは彩り豊かな顔ぶれとなっている。1位はマーベルの新作「アントマン&ワスプ クアントマニア」。外国映画としては7カ月ぶり、「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」以来の首位獲得となった。さらなる力強さが期待される外国映画に朗報である。

2位以下には、従来の「新作映画の劇場公開」にとどまらないヒット作がランクイン。「ワールドツアー上映『鬼滅の刃』上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」はテレビ放送予定のものを含めたアニメシリーズの劇場公開だが、「よい環境で見たい」「早く見たい」ファンを集め、興行収入は26億円を超えた。「タイタニック ジェームズ・キャメロン 25周年3Dリマスター」は、大ヒットした名作の映像を、現在の技術で美しく仕上げて再上映。2週間限定公開だが、満席続出の高稼働。人気アーティストのコンサート映像「BTS: Yet To Come in Cinemas」も累計興収13億円を超えた。いずれも「非日常な環境と優れた設備で、音楽と映像・物語を楽しむ」という映画館の価値を示している。

外国映画はもちろん、新たなジャンルを含めてさまざまな興行の成功例が増えていることは、映画興行の完全復活とそれを越えた発展に向けて、非常に心強い。(GEM Partners代表・梅津文)