2022年も残りわずか。たくさんの作品が公開、配信されました。7月の上半期総決算に続いて、ひとシネマ執筆陣が1年を総まくり、「ゆく年」編は22年の10本を選出しました。返す刀の「くる年」編で、23年の期待作も紹介します。題して「ひとシネマ的ゆく年くる年」。年末年始の鑑賞ガイド、新年のカレンダーとしても、ご活用を。
2022.12.15
2022年総決算 ゆく年編 山田あゆみ
「カモン カモン」(マイク・ミルズ監督)
「Coda コーダ あいのうた」(シアン・ヘダー監督)
「PLAN 75」(早川千絵監督)
「TITANE/チタン」(ジュリア・デュクルノー監督)
「英雄の証明」(アスガー・ファルハディ監督)
「女神の継承」(パンジョン・ピサンタナクーン監督)
「わたしは最悪。」(ヨアキム・トリアー監督)
「戦争と女の顔」(カンテミール・パラーゴフ監督)
「セイント・フランシス」(アレックス・トンプソン監督)
「RRR」(S.S.ラージャマウリ監督)
女性たちから胸張って生きる勇気をもらった
今年公開された映画の中で、女性をテーマにした「わたしは最悪。」「セイント・フランシス」の2作品に、特に胸を打たれました。恋愛やキャリアなど人生観から、中絶や子育てなど女性を取り巻くさまざまなことを赤裸々に描いた映画です。
誰ひとりとして同じ生き方や考え方をしている人はいないはずなのに、女性は結婚や出産、キャリアなどのカテゴリーで比べられます。そこで感じる窮屈さは、映画の中の世界だけでなく、日本で生きる私も変わらないと実感しました。
「わたしは最悪。」からは生きる喜びを手放さないために自分から目をそらさない勇気を、「セイント・フランシス」からは全員にとって生きやすい社会のために誰もが持つべき優しさを、見せてもらいました。
どんな選択をしても、〝自分の人生だ〟と胸を張って生きていきたいと思わせてくれる映画です。