くれなずめ © 2020 「くれなずめ」製作委員会

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2021.4.29

時代の目:くれなずめ さえない青春の忘れ物

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

旬の俳優がそろったのを見ただけで、松居大悟監督への期待度が分かるというもの。青春の忘れ物を回収するオトナコドモ男子の感傷物語を、生き生きと描く。

結婚式で集まった高校の同窓生、いずれも30歳間近の6人。披露宴の余興で会場をドン引きさせた後、2次会までポカンと時間が空いた。所在なく歩き回る彼らが、高校時代とその後を振り返る。

パッとしない帰宅部の6人は文化祭でコントを演じた仲間だ。卒業後はバラバラの道を進んだものの、時折行き来していた。しかし全員が集まるのは5年ぶり。それぞれのエピソードを飛び飛びにたどるうち、彼らのうちの一人を巡る心の傷が明らかになる。

松居監督は「アズミ・ハルコは行方不明」「アイスと雨音」「#ハンド全力」など、小粒だがひねりの利いた作品を手がけてきた。今作は主宰する劇団の舞台を自ら映画化。高良健吾、若葉竜也、藤原季節、成田凌ら日本映画に引っ張りだこの顔ぶれが、仲間内の親密さと微妙な気詰まり感を巧みに醸し出す。後半のファンタジー調への急ハンドルは好悪が分かれそうだが、過去に決着をつけようとする心情を、暮れなずむ空とシンクロさせたラストシーンの詩情がいい。1時間36分。近日公開。(勝)

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