サマーフィルムにのって © 2021「サマーフィルムにのって」製作委員会

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2021.8.05

特選掘り出し!:「サマーフィルムにのって」 時代劇を作る青春の輝き

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

女子高校生が時代劇の映画を作るお話だ。集まったのは仲良しの友達や一芸に秀でた同級生の素人集団で、手作り感満載。憧れや見よう見まね、局所的こだわりなど映画ファンの胸中に忍び込んで、いつのまにか見入ってしまう熱気ムンムンの青春映画である。

ハダシ(伊藤万理華)は勝新太郎の「座頭市」がお気に入りの時代劇オタク。所属する映画部はキラキラ恋愛映画を製作していて、ハダシはくすぶっていた。ある日、名画座で自身が書いた脚本「武士の青春」の主役にピッタリな凜太郎(金子大地)と出会い、出演を依頼、映画作りが動き出す。

恋心や友情、SF的展開まで織り込んで、学生映画の奔放さや葛藤が随所に表出。王道だけどポップ、「あるある」感とテンポ良いストーリーテリングで、映画作りの喜びとワクワクする気持ちが伝わる演出で引きつける。極めつきはラストの学園祭での上映会。ギリギリまで迷って、やっぱり自分らしく、映画らしくと決断、実行するハダシに拍手を送りたくなる。ラストショットもこれしかないと納得。気がついたら、しっかり作中に取り込まれる快感を堪能していた。松本壮史監督。1時間37分。東京・新宿武蔵野館、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(鈴)

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