彼女たちの革命前夜© Pathé Productions Limited, British Broadcasting Corporation and The British Film Institute 2019

彼女たちの革命前夜© Pathé Productions Limited, British Broadcasting Corporation and The British Film Institute 2019

2022.6.27

「彼女たちの革命前夜」 ミスコン巡り交錯する人生:英月の極楽シネマ

「仏教の次に映画が大好き」という、京都・大行寺(だいぎょうじ)住職の英月(えいげつ)さんが、僧侶の視点から新作映画を紹介。悩みを抱えた人間たちへの、お釈迦(しゃか)様のメッセージを読み解きます。

英月

英月

1970年にあるミスコンテストの会場で実際に起きた騒動が基になった映画です。当時、全世界で多くの人々を夢中にさせたミス・ワールド。その大会に異を唱え、中止を画策した人たちがいました。女性解放運動の活動家ジョー(ジェシー・バックリー)や、シングルマザーとしてロンドン大学に通うサリー(キーラ・ナイトレイ)たちです。

大学での学びでさえ女性には発言の機会が与えられないなど、男性優位で社会が成り立っていることに疑問を持ったサリーは、出演したテレビ番組で「女性が地位を得るためには特定の外見が必要か?」と人々に問いかけます。それをホテルの部屋で見ていたのが、カリブ海の小国・グレナダからある決意を持ってコンテストに参加していたジェニファー(ググ・バサ・ロー)でした。コンテストを足がかりに、自身の現状を打開しようと思っていたのは彼女だけではありません。

男性が中心の世の中で、それを打ち壊そうとする活動家と、世の流れに乗ろうとする参加者たち。どちらが正しいのでも間違っているのでもなく、そうさせる背景があったのです。映画ではさらに、主催者夫婦、司会の大物コメディアン夫婦、そして理路整然と主義を訴えるサリーに反論する彼女の母親にも触れられます。理

想や主義は大事。けれども、誰もが声を上げられるわけではありません。個人の性質だけの問題ではなく、そこにもやはり、それぞれの背景が浮かび上がってきます。誰とも代われない人生を精いっぱい生きた人たちの姿に、私はどうかと問われた思いがしました。シネ・リーブル梅田ほかで公開中。

彼女たちの革命前夜

1970年のミス・ワールド。女性解放運動に加わり、開催を阻止しようとするサリー、グレナダから出場するものの白人偏重に疑問を抱くジェニファー、準備を進める主催者ら、それぞれの思いを描く群像劇。実話の映画化。

© Pathé Productions Limited, British Broadcasting Corporation and The British Film Institute 2019

ライター
英月

英月

えいげつ 1971年、京都市下京区の真宗佛光寺派・大行寺に生まれる。29歳で単身渡米し、ラジオパーソナリティーなどとして活動する一方、僧侶として現地で「写経の会」を開く。寺を継ぐはずだった弟が家出をしたため2010年に帰国、15年に大行寺住職に就任。著書に「二河白道ものがたり いのちに目覚める」ほか。インスタグラムツイッターでも発信中。Radio極楽シネマも、好評配信中。