「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」© 2019 STUDIOCANAL S.A.S AND AMAZON CONTENT SERVICES LLC

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2022.10.14

「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

放射能研究で2度のノーベル賞に輝いた科学者マリ・キュリーの伝記映画。19世紀後半にポーランドからパリに移り住んだ苦学時代、公私の伴侶となるピエール・キュリーとの出会いと結婚生活、ピエールと死別後の苦悩と再起など、キュリー夫人(ロザムンド・パイク)の波乱に満ちた軌跡を映し出す。

グリア・ガーソンやイザベル・ユペール主演で映画化されたこともある〝おなじみ〟の偉人伝だが、科学界で女性蔑視にさらされ、移民ゆえの差別も被ったエピソードに現代的な視点が感じられる。科学への並々ならぬ情熱、ピエールとの愛のドラマも、キュリー夫人へのリスペクトがたっぷり。

しかし彼女の研究が世界にもたらした〝負〟の影響として、広島への原爆投下、チェルノブイリの原発事故のイメージを挿入したのは飛躍しすぎの感も。アニメ映画「ペルセポリス」で注目されたマルジャン・サトラピ監督、今回はいささか詰め込みすぎたか。1時間50分。東京・キノシネマ立川高島屋S.C.館、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(諭)

ここに注目

放射能の功罪と科学者、一女性としての生き方をミックスすると、やや散漫な映画になってしまうのは仕方ないのだろうと納得。性差別や恋愛スキャンダルまで取り込み、当時の社会背景にも迫った。兵士を救ったX線の効用も含め、キュリー夫人の入門編として見ればオススメ。(鈴)

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