「月の満ち欠け」 ©2022「月の満ち欠け」製作委員会

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2022.12.02

「月の満ち欠け」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

仕事も家庭も順調だった小山内(大泉洋)は、愛する妻梢(柴咲コウ)と娘瑠璃(菊池日菜子)を事故で同時に失い、郷里八戸に戻る。そこに哲彦と名乗る男(目黒蓮)が訪ねてきて、事故の日に瑠璃が自分に会いに来ようとしていたこと、彼女はかつて愛した〝瑠璃〟(有村架純)という女性の生まれ変わりではないかと告げる。

直木賞受賞の佐藤正午の同名小説を映画化。1980年当時の高田馬場を舞台にした哲彦と〝瑠璃〟のピュアな青春がほほえましく、昭和世代の心をつかむのは必至だろう。生まれ変わりを信じがたい人たちと共鳴しつつも、小山内の心の内の小さな変化が無理のない感情の流れとなって作品の柱になっている。時代や空間を超えた愛、ファンタジーなどというより、地に足をつけたようで不可思議な愛情の存在を折り目正しく穏やかに描いた廣木隆一監督のベテランの演出、大泉や有村、柴咲らの的確な演技が際立つ。年の瀬に心持ちのいい1本。2時間8分。東京・丸の内ピカデリー、大阪・あべのアポロシネマほか。(鈴)

異論あり

原作の複雑な時系列を、小山内を軸に巧みにまとめている。転生という概念をどう捉えているかでラブストーリーか、はたまたある種のホラーと受け止めるか反応が分かれそうな題材。男性が生まれ変わるエピソードが一つでもあれば、さらに世界観が豊かになったような気も。(細)

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