アンモナイトの目覚め ©2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited

アンモナイトの目覚め ©2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited

2021.4.15

アンモナイトの目覚め

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

19世紀のイギリス、海辺の町。メアリー(ケイト・ウィンスレット)は若くして貴重な化石を発掘した古生物学者だが、今はアンモナイトを観光客に売って生計を立てている。メアリーの元に、裕福な化石収集家が連れて来たのは、妻のシャーロット(シアーシャ・ローナン)。流産でダメージを受けた彼女の療養のため、メアリーは数週間預かることになる。

心を閉ざして泥だらけで生きてきたメアリーと、無邪気で屈託のないシャーロット。性格も階級も違うが、男性が優位な社会で生きづらさを抱えていることが共通点だろう。世代の違う名女優が魂をこすりあわせるようなスリリングな名演を見せ、戸惑いながらも心と体を重ねる喜びを感じていく場面を、切実で美しいものにしている。監督は「ゴッズ・オウン・カントリー」で男性ふたりの愛を描いたフランシス・リー。荒々しい波が打ち寄せ、時に日が差し込む海辺の風景にも雄弁に心情を語らせている。1時間58分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか。(細)

ここに注目

立場は違えど孤独感を抱えて生きる女性を2人の女優が熱演。特にケイトの演技は、実際のメアリーの人生もこうだったんだろうと思わせる説得力にあふれている。社会的な抑圧に耐えながらもプライドを持ち続けるメアリーの生き様は、現代の女性にとっても参考になるはずだ。(倉)

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