「東京2020オリンピック」©2022-International Olympic Committee- All Rights Reserved.

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2022.7.01

時代の目:「東京2020オリンピック」独自の視点で刻んだ日本

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

すったもんだの末、1年遅れの無観客で開催された東京オリンピック。もう一度見たいというほどの盛り上がりに至らず、加えてこの映画、名場面や感動のハイライト集とはほど遠い。では何を記録し、何を見るべきか。一言で言うなら「SIDE:A」は赤ちゃん、「SIDE:B」はオジさんだ。

「SIDE:A」の中心はアスリートたち。カメラは超美技やメダルよりも、五輪が彼らの人生に持つ意味を見つめている。印象深いのは母親たちだ。出産、育児と競技の両立は可能なのか。赤ちゃんを抱いた彼女とパートナーたちの、決断と思いが響く。

「SIDE:B」は、大会成功に心血を注ぐ裏方に光を当てる一方で、反対派や組織委員会内のゴタゴタも切り取った。冒頭は、開催1年延期を決める組織委の会合だ。出席者の顔を極端なアップで捉えるのだが、これが男ばかり。男性社会を象徴する。そして森喜朗組織委会長の辞任を機に、一気に女性が目立ち始める。

河瀬直美監督が独自の視点で紡ぐ、2021年の日本が刻まれた物語である。「SIDE:A」は2時間、「SIDE:B」は2時間3分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほかで公開中。(勝)

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