毎日映画コンクールは、1年間の優れた作品と活躍した映画人を広く顕彰する映画賞です。終戦間もなく始まり、映画界を応援し続けています。
2023.12.20
第78回毎日映画コンクール候補決定・作品部門
第78回毎日映画コンクール2次(最終)選考の候補作、候補者が決まった。
2月14日に表彰式 めぐろパーシモンホール
毎日映コンは、「作品」「俳優」「スタッフ」「ドキュメンタリー」「アニメーション」の5部門で17賞。「作品」「俳優」「スタッフ」は、映画評論家や映画記者約70人の1次選考委員が投票を行い、上位得票作・者が2次選考候補となる。「アニメーション」「ドキュメンタリー」両部門は、応募作から1次選考委員による討議で候補作を決定。2次選考では、各部門の選考委員の討議で決まる。「外国映画ベストワン賞」は、1次選考委員による再投票で決定する。
受賞結果は2024年1月下旬に発表、表彰式は2月14日、東京・めぐろパーシモンホールで開かれる。
作品部門の2次(最終)選考候補作は次のとおり。
<日本映画大賞、日本映画優秀賞>
「怪物」
©2023「怪物」製作委員会
監督 是枝裕和
脚本 坂元裕二
撮影 近藤龍人
美術 三ツ松けいこ
音楽 坂本龍一
録音 冨田和彦
出演 安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、田中裕子
是枝裕和監督と人気脚本家、坂元裕二が初めて組んだ。11歳の息子湊を1人で育てる早織は、湊の様子からいじめを疑うようになる。ある晩湊を問い詰めると、担任の教師保利から「豚の脳」と言われたと告げた。早織の抗議に校長や教頭は形式的対応に終始し、姿を見せた保利も誠意が感じられず、早織は激怒する。やがて保利は免職となるが、嵐の夜に湊が姿を消した。一つの事件を早織、保利、湊と三つの視点から描く。真実の曖昧さや人が理解し合うことの難しさを描き、カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した。
映コンでは、女優助演賞、スポニチグランプリ新人賞、スタッフの全6賞で候補入り。
「ゴジラ-1.0」
©2023 TOHO CO.,LTD.
監督・脚本 山崎貴
撮影 柴崎幸三
美術 上條田安里
録音 竹内久史
音楽 佐藤直紀
出演 神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、安藤サクラ、佐々木蔵之介
第二次世界大戦末期、特攻機の機体不良を理由に大戸島に不時着した敷島は、島に上陸し部隊を全滅させたゴジラを目撃する。復員後、戦災孤児を預かった典子と暮らし始め、平穏な日常を取り戻そうとした矢先、ゴジラが再来。巨大に成長したゴジラは東京・銀座を焼け野原にし、敷島も大切なものを奪われる。政府も米軍もあてにできず、生き残った将兵が集まり対ゴジラ作戦に乗り出した。
1954年の第1作「ゴジラ」の原点、反戦・反核の姿勢を打ち出す一方で、最新のVFX技術を総動員してゴジラの恐怖を映像化した。監督、撮影、美術、音楽、録音の各賞でも候補に。シリーズ前作「シン・ゴジラ」は第71回日本映画大賞を受賞している。
「せかいのおきく」
©2023 FANTASIA
監督・脚本 阪本順治
撮影 笠松則通
美術 原田満生
録音 志満順一
音楽 安川午朗
出演 黒木華、寛一郎、池松壮亮、真木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司
江戸時代末期の江戸。雨宿りのひさしの下で、下肥買いの矢亮とくず拾いの中次、長屋に住む浪人の娘、おきくが出会う。中次は矢亮の下肥買いに加わって、江戸の肥を集めては売りに行く。一方おきくは侍に斬られて声を失う。3人は江戸の街角で再会し、次第に距離を縮めてゆく。
江戸の循環社会を、ふん尿に視点を据えて丹念にたどる一方で、社会の下層で生きる若者と庶民の姿を、白黒の映像で生き生きと描く。美術の原田が企画した短編が、長編作品へと発展。女優主演賞とスタッフ部門全6賞で候補入り。
「福田村事件」
©「福田村事件」プロジェクト2023
監督 森達也
脚本 佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦
撮影 桑原正
美術 須坂文昭
録音 臼井勝
音楽 鈴木慶一
出演 井浦新、田中麗奈、永山瑛太、東出昌大、コムアイ
1923年9月、関東大震災直後の千葉県福田村で、香川県の被差別部落から来ていた薬の行商団15人のうち9人が、彼らを朝鮮人と思い込んだ村人に虐殺された。歴史に埋もれた事件を、「A」「FAKE」などのドキュメンタリーを撮ってきた森達也監督がフィクションとして映画化した。
香川県を出発した行商団、朝鮮で日本軍の虐殺事件を目撃して帰郷した元教師、閉鎖的な村社会で不安と恐怖を募らせる村人たち、それに地元紙記者と、重層的な視点で事件を追う群像劇とした。小規模公開ながら興行でもヒットした。
男優助演、監督、脚本の各賞でも候補入り。
「ほかげ」
©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER
監督・脚本・撮影 塚本晋也
美術 中嶋義明
音楽 石川忠
録音 北田雅也
出演 趣里、森山未來、塚尾桜雅、河野宏紀
第二次世界大戦終戦後、焼け残った居酒屋で、1人の女が体と酒を売って生活している。店に戦災孤児の少年と若い復員兵が姿を見せ、やがて家族のように暮らし始めた。しかしある晩、戦地で受けた心の傷に苦しむ復員兵が突発的に暴力を振るい、つかの間の幸せは崩壊する。残された女と少年は母子のようなつながりを築いてゆくものの、少年が隠し持つ拳銃を見つけたテキ屋の男が、少年に「仕事」を持ちかける。女の反対を振り切って、少年はテキ屋の復讐(ふくしゅう)のために、彼の元上官の元を訪ねてゆく。
塚本晋也監督が「野火」「斬、」に続いて戦争を描いた。女優主演賞、監督賞でも候補入り。
<外国映画ベストワン賞>
「EO イーオー」
「イニシェリン島の精霊」
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
「TAR/ター」
「フェイブルマンズ」
「別れる決心」
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