「#マンホール」©2023 Gaga CorporationJ Storm Inc.

「#マンホール」©2023 Gaga CorporationJ Storm Inc.

2023.2.15

インタビュー:中島裕翔・後編 「Hey!Say!JUMPは帰る場所。30歳でもしっかりキラキラしたい」

公開映画情報を中心に、映画評、トピックスやキャンペーン、試写会情報などを紹介します。

勝田友巳

勝田友巳

熊切和嘉監督の「#マンホール」で単独主演、というかほぼ〝単独出演〟した中島裕翔。30歳直前に出演したこの映画でこれまでにない経験をし、新たな道が開けたという。中島裕翔インタビュー後編では、アイドルについて俳優活動について、語ってもらった。

 

中島裕翔インタビュー前編 「泥まみれ泡まみれ、半狂乱「自分の殻を破る経験だった」 「#マンホール」


 

10歳でジャニーズ事務所に入り、ジャニーズJr.として活動を開始。Hey!Say!JUMPの中心でアイドルとして活躍しながら、演技の実績も重ねてきた。「#マンホール」で演じた川村はこれまでのイメージと正反対だったが、役のオファーは「渡りに船」だったと振り返る。

 

「全くやったことのない、でも、実はやりたい役だった。タイミングと縁ですね。これまでは一番年下とか新人という立ち位置で、無知で慌てふためくような役が多かったんです。『#マンホール』を機に自分の殻を破って、今までやってこなかった、やれなかった役ができるかもしれない。言い方は簡単かもしれないけど、〝大人の役〟ができると思う。これを皮切りに、いろいろ広がっていくのかなという期待もあるんです」

 

「オレも30なんて、言ってられない」

2023年は30歳を迎える。「30歳になったからって、自分をおじさん認定するのはやめようと思ってます。この間テレビでインタビューを受けていたファンの方が、小学4年生だったんですよ。まだまだ頑張んなきゃ、若い子にも刺さるものを持ってなきゃいけないんだと思わされます。オレも30だし、なんて言ってられない。これから何を感じるかを大事にして、その時の自分だからこそ出せるものを出したい」

 

22年の「純愛ディソナンス」、23年の「大奥」とドラマでも活躍。「演じることが好きだし、俳優は力を入れて続けたい」と語る。しかし幼い頃から活躍したアイドルが、大人になって〝もう卒業します、これからは俳優一本で〟という、ありがちな将来は描かない。

 


Hey!Say!JUMPは「帰る場所」

「『#マンホール』みたいなことにチャレンジもするし、一方で『ちゃんとアイドルできるんだよな、あの人』と言ってもらえるような存在でありたい。Hey!Say!JUMPは結成から16年目に突入して、ついてきてくれるファンもいるし、スタッフもいる。すてきな仲間に支えられてると思うし、だからこそこうしたチャレンジができる恩恵も感じます」

 

だから、Hey!Say!JUMPは「帰る場所」。1人の俳優として違う空気を吸う刺激は、時にストレスにもなる。Hey!Say!JUMPでの仲間たちとの活動は「持ちつ持たれつの相乗効果」という。

 

「アイドルの活動の時は、しっかりキラキラしようと思ってるんです。無理してじゃなくて。そういう場所があるから、『#マンホール』のような役をやった時に引き立つのではないかな。いいバランスだと思うし、ギャップに驚いてほしい。そこが、僕の思うかっこいい大人像だな」


 

高めてないと落ち着かない 何もしない一日は「超後悔」

ドラム、英語、乗馬、武術……。多趣味で知られる。多忙の合間を縫い寸暇を惜しんで自分磨きを怠らないのだ。「デビュー当時からの癖なんですよね。10人のグループでデビューして、このままじゃ埋もれちゃう、何か特技を身につけなきゃと、ドラムを始めたんです。それが自分の武器になった」。コンサートでソロのパートをもらうようになり、他のメンバーも楽器を習い始め、バンドコーナーもできた。「ひとつずつ進展してくのが、すごく面白かった。認められることで自信につながるし、Hey!Say!JUMPに違う面をもたらすこともできる」

 

でもそんなに詰め込んだら、苦しくないですか。「常に自分を高めてないと 罪悪感を感じてしまうんです。何もしないでダラダラ過ごした日は、超後悔します。別にしなくていいんですけど(笑い)」

 

海外進出も、夢に見る。「日本の芝居って、きっと通用しないんですよ。海外の演技法を学んでみたい思いもあります。勉強してる英語を使える機会があればいいなと思うし、海外の人にも気になってもらえる俳優になりたい」。2月16日から始まるベルリン国際映画祭に、「#マンホール」が出品され、3大映画祭のレッドカーペットを歩く。「ベルリンのお客さんにも、マンホールが怖いって思ってもらえるかな」

 

かつて韓国・プサン国際映画祭に参加したが、この時は弾丸日程。「今度はしっかり映画祭に参加したい」。とは言うものの、多忙な身にはたして許されるかどうか。

ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。