「フタリノセカイ」

「フタリノセカイ」

2022.12.23

2022年総決算 ゆく年編 洪相鉉

2022年も残りわずか。たくさんの作品が公開、配信されました。7月の上半期総決算に続いて、ひとシネマ執筆陣が1年を総まくり、「ゆく年」編は22年の10本を選出しました。返す刀の「くる年」編で、23年の期待作も紹介します。題して「ひとシネマ的ゆく年くる年」。年末年始の鑑賞ガイド、新年のカレンダーとしても、ご活用を。

洪相鉉

洪相鉉

「フタリノセカイ」(飯塚花笑監督)
「さがす」(片山慎三監督)
「死刑にいたる病」(白石和彌監督)
「ハケンアニメ!」(吉野耕平監督)
「ビリーバーズ」(城定秀夫監督)
「キングダム2 遥かなる大地へ」(佐藤信介監督)
「LOVE LIFE」(深田晃司監督)
「ヘルドッグス」(原田眞人監督)
「夜を越える旅」(萱野孝幸監督)
「天上の花」(片嶋一貴監督)
 

映画への情熱が生んだ宝石

「SMAP」の「世界に一つだけの花」という楽曲が好きだ。槇原敬之が仏教の教えを念頭に置いて書き上げたこの歌は、それぞれ個性を誇るさまざまな色の花々への賛歌である。
 
まるでコロナ禍とそれにともなう劇場の危機という困難はもちろん、インディーズとメジャーの区分さえ乗り越え、世界にアピールする力ㆍ多様性を土台に商業的競争力と芸術的完成度を示した今年の日本映画を描いているようだ(資本の側としては、この優れたコスパを悪用せず、より豊かな環境を提供するために努力すべきだろうが)。
 
今、この瞬間、映画を作らなければ耐えられないフィルムメーカーの情熱の上に生まれた、宝石のような「ゆく年」のリストを見て、改めて胸がいっぱいになってしまう私がいる。

ライター
洪相鉉

洪相鉉

ほん・さんひょん 韓国映画専門ウェブメディア「CoAR」運営委員。全州国際映画祭ㆍ富川国際ファンタスティック映画祭アドバイザー、高崎映画祭シニアプロデューサー。TBS主催DigCon6 Asia審査員。政治学と映像芸術学の修士学位を持ち、東京大留学。パリ経済学校と共同プロジェクトを行った清水研究室所属。「CoAR」で連載中の日本映画人インタビューは韓国トップクラスの人気を誇る。

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