メイド・イン・バングラデシュ

メイド・イン・バングラデシュ

2022.4.15

時代の目:メイド・イン・バングラデシュ 闘いの熱気、色彩豊かに

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

シム(リキタ・ナンディニ・シム)は、ダッカにある多国籍衣料ブランドの縫製工場で働いている。仕事は厳しいが賃金は安く、夫は失業中で生活は苦しい。ある日、人権団体の女性に誘われて集会に参加、労働組合結成の意義に気付く。同僚たちを説得して署名を集め、困難に立ち向かいながら組合結成に奔走する。

筋立てはまるで、1950年代の山本薩夫監督作品。しかし現代のバングラデシュの女性たちは、多国籍企業や頑迷な上司といった資本家とその手先と闘うばかりでなく、夫や保守的な女性たちという、強固な男性社会の壁にも行く手を阻まれる。

強い意志と行動力で突き進むシムは理想的指導者で、一直線の物語はいささか単調。それでもファストファッションの陰を示し、終幕は力業ながら、男性支配の根深さとバングラデシュの女性の立場を考えさせる。そして、モノクロでむさ苦しかった山本薩夫に比べると、縫製工場もセットも色とりどり。フランスの撮影監督、サビーヌ・ランスランの画面はぐっと華やかだ。ルバイヤット・ホセイン監督。1時間35分。東京・岩波ホール(16日から)。大阪・シネ・リーブル梅田(5月6日から)ほか全国でも順次。(勝)