「ドリーム・ホース」 ©DREAM HORSE FILMS LIMITED AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION

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2023.1.06

「ドリーム・ホース」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ウェールズの村。夫と暮らすジャン(トニ・コレット)はパートと親の介護に明け暮れる日々を送っている。ある日、馬主経験があるという税理士のハワード(ダミアン・ルイス)の話を聞いて思いついたのが、競走馬を育てること。資金を出し合い、組合馬主となった村の人々とともに、ドリームアライアンス(夢の同盟)と名付けた馬を応援する毎日が始まる。

タイトルを見た瞬間、一獲千金を狙う人たちの物語に違いないと思った自分を恥じたくなる、実話を基にしたイギリス映画。胸の高鳴りを与えてくれる存在との出合いにより、弾んでいく日常が描かれる。レースの場面では勝利よりケガを心配する思いが痛いほど伝わり、感動はより大きなものに。馬の愛らしさも、この映画の魅力を支えている。意外な展開はないが、村の人たちと高揚感を共有しながら最後にはじんわりと心が温かくなる、夢と愛にあふれた作品。年明け1本目の映画鑑賞におすすめ。ユーロス・リン監督。1時間54分。東京・新宿ピカデリー、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(細)

ここに注目

労働者階級の人々が一念発起して夢を追う英国映画はいくつもあるが、本作はウェールズ産というローカル色の豊かさが魅力。美しさとわびしさが入り交じる自然や街並み、登場人物の愛すべき人間くささに魅了され、同地における競馬の伝統やステータスの高さも伝わってくる。(諭)

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