MONOS (c) Stela Cine, Campo, Lemming Film, Pandora, SnowGlobe, Film i Väst, Pando & Mutante Cine

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2021.10.28

特選掘り出し!:MONOS 猿と呼ばれし者たち 少年兵、密林にのみ込まれ

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

MONOSはスペイン語で猿の意味。アレハンドロ・ランデス監督が、内戦状態にあったコロンビアの現実を下敷きに、人間の中にある暴力を生々しく描き出した。

山中の拠点に、10代半ばと思われる男女8人が暮らしている。反政府ゲリラ組織の少年兵で、人質である米国人女性学者の監視役だ。仲間の一人が、組織から預かった乳牛を射殺し、重圧からリーダーが自殺する。反対勢力から拠点が襲撃され、少年たちはジャングルに逃げ込んだ。

時折訓練をするぐらいで、幼さを残していた少年兵たちののどかな日常が一変。学者が逃走し、仲間もバラバラになる。孤立し恐怖にかられた少年たちは、ジャングルをさまよい、秩序と倫理の縛りを解かれ、人間性を失ってゆく。

「蠅の王」や「地獄の黙示録」を思わせる展開だが、濃密な密林の描写が圧倒的だ。少年たちはのみ込まれ、人間ではないものに変容して一体化する。1人は文明社会にたどり着くが、そこにも暴力は浸透していく。ランデス監督の、冷静で客観的なまなざしが、かえって画面をまがまがしくさせる。1時間42分。東京・シアター・イメージフォーラム(30日から)、大阪・シネ・リーブル梅田(11月5日から)ほか。(勝)

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