失語症を理由に引退を表明した、ブルース・ウィリス。1980年代からアクション、スリラー、コメディーやシリアスドラマまで、ジャンルをまたにかけた作品で、映画ファンを楽しませてくれた。大物感とちゃめっ気を併せ持ったスターに感謝を込めて、その足跡と功績を振り返る。
2022.5.26
ブルース・ウィリスが新作キャンペーンで来日 殴られても痛さ見せないのが男の美学
1991年11月、毎日新聞学芸部記者だった野島孝一さんは、来日したブルース・ウィリスに単独インタビュー。同年12月3日、毎日新聞夕刊芸能面に掲載されたインタビュー記事を再掲しよう。
新作「ラスト・ボーイスカウト」のキャンペーンで来日したブルース・ウィリスが、単独インタビューに応じた。さすがの「ダイ・ハード」(なかなか死なないヤツ)のウィリスも強行日程には勝てないらしく、長いすに横になったままの受け答え。それでも写真を撮る時はシャキッとして、独特の表情に戻った。
――「ラスト・ボーイスカウト」はせりふがユーモラスですね。しゃべりながら、思わず噴き出してしまうことはないですか。
「それはあったさ。NGになったこともある。こういうヘビー・アクションは息抜きが必要なんだ。この脚本は良く書けていて、笑いもバランス良く入っている」
――今度はぶんなぐられるシーンが多い。
「痛さを見せないのがハードボイルド、男の美学なんだ」
――この作品もハラハラするようなシーンがあります。けがしたことはないのですか。
「擦り傷ぐらいはあるが大きなけがをしたことはない。本当に危険なように見せているのさ」
――夫人のデミ・ムーアと共演した「愛を殺さないで」では、女にだらしない嫌な男の役をやっていますが、けっこう楽しんでいる?
「そう。私はいろいろなキャラクターを楽しみながらやっているよ。あの男のようなヤツは若いころに知っていた」
――あの作品はデミ・ムーアのプロデュースですが、プロデュースや監督をやる気がありますか。
「プロデュースはやったことがある。監督はやる気になれない。一年間も時間を取られるのはごめんだ」
――今回はミュージシャンとして演奏活動もしました。
「うん、ハーモニカとボーカルをやっている。リズム&ブルースが大好きだ」
――仕事のないときは、何をしていますか。
「娘が幼稚園なんで、車で送り迎えをしたり、本を読んでやってベッドに寝かせたり」
――それじゃあ、家庭ではナイス・パパですね。
「まあ、そうさ」